英国の庭から~海外生活ブログです

オランダで還暦を迎えた駐妻。英国での5年弱、2度目の駐在生活を終え、オランダ生活も3年を過ぎてしまいました。けたところでロックダウン入り。できる範囲で何をしようかと模索中。

英国議会を笑えない、日本の国会議員のお粗末さ

確かに英国議会は情けない状況ですが…

英国議会は、EUが離脱延期を認めた翌日の午後からイースターを挟んだ休会となっています。英国議会は昨年秋から収拾がつかない状態となり、評判を大きく落としてしまいました。EU離脱法案を毎回否決し、効果のある代替案を出すこともできませんでした。メイ首相には「議員達が悪い」と責められるし、日本の新聞や有識者からも「情けない」とくさされる始末です。日本の新聞は、特に日経新聞は、これでもかこれでもかと英国内紙以上に、合意なき離脱の恐怖を煽っていた印象でしたが。それにしてもこちらで見ていると日本の報道はメイ首相をひいきし過ぎ。他国のメディアなんだから、もう少し、バランスの取れた報道ができないものかしら・・

 

まあ、それはともかく、確かに英国議会は、情けないのかもしれないし、下の絵は、有名な覆面ストリートアーチストBanksyのDevolved Parliamentという作品ですが、10年前に描かれた作品ながら、現在、まさにこんな感じす。

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Devolved Parliament by Banksy

巨大な絵で、現在、ブリストル美術館で3月28日~8月4日の期間、公開中です。

 https://www.bristolmuseums.org.uk/bristol-museum-and-art-gallery/whats-on/banksys-devolved-parliament/

 

英国の国会議員はまじめ

今回のブレグジット動向を注視していて気付いたのは、英国の国会議員は、確かにクリスマス、学校のハーフターム(学期の途中にある1~2週間ほどの休み)、夏休みなど、休会は多いものの、それ以外の時期には、実にまじめに働いているのです。(ただし、北アイルランドを地盤とするシンフェイン党議員だけは、最初から全く登院しないことになっており、評決の数の対象にさえなっていません。)

 

 殆どの議員がきちんと投票に出席していますし、どの決議にどのように投票したかも、全て投票した直後に公開されています。陣痛が始まっているのに投票に参加した議員もいたし、先日、2名ほど欠席した議員がいた際、同僚の別の議員が「さぼってけしからん」とツイートしたところ、二人とも体調不良やお子さんの病気か何かで病院で治療を受けていたことが判明、ツイートした議員が謝罪したほどです。

 

 さらにいうと、投票行動も党の拘束と同時に、自分の選挙区の有権者を常に意識しています。ブレグジットの場合、議員本人は残留派だったのに選挙区民が離脱を選んだという選挙区も多く、その板挟みで苦悩したり、選挙区の意志を反映していないとして、リコール要求を受けている議員もいます。

 

 こういう状況なので、ブレグジットの3回目の意義ある投票で、メイ首相が「自分の離脱案が通ったら辞めてもいい」(結局、嘘だったけど)と公約した際、私の日本人の同僚達は、「今回はメイ首相に同情して可決されるのでは?」などと言っていましたけど、そうはなりませんでした。どの議員も、自分が選挙民の代弁をしているという自覚があるし、だから、選挙民に説明できないような投票行動は取りたくたってとれないのです。つまり、メイ首相への同情などでは(仮にそういうものがあったとして)、ぶれないのです。

 

もちろん、英国にもなりふり構わず首相の座を狙う嘘つき議員のボリス・ジョンソンだの、強硬離脱派のナイジェル・ファラージだの国際的にも知られているでたらめな政治家がいて、誰がこんなバカ者に投票するんだろう?と欧州中が呆れているほどですから、日本と比べて100%優れているとは言い切れませんが、それでもやはり英国では政治家は政治をしているし、有権者もまた議員を監視することで政治に参加していると思います。

 

有権者はもっと日本の国会議員の行動を監視すべき

日本にいた頃、数年に1回選挙に行って、大体、落選する議員に投票して終わっていました。私の家の選挙区は、保守の土建屋さんの地盤で娘の中学校のOBでもあったので、生で話しを聞く機会もあったのですが、知性に疑問をもつこともしばしば。だから、いつも民主党とか野党候補に投票し、自分の貴重な1票をみすみす捨てていたのです。

 

しかし、今振り返ると、自分が投票した相手が落選したからといって、当選した議員について調べることもせず、その議員が任期中、どのような政治行動をとるのか無関心で、勝手放題をするのを許していたことは間違いだったのかもしれないと、英国の有権者を見ていて感じるようになりました。

 

民主主義において、自分の選挙区選出の議員が、任期中、どのような政治行動をとるかを監視、コントロールするのは有権者の勤めなのだと思います。幸い今はだれでもブログを書いたりツィートできる時代。議員に問題行動があれば、他の有権者に注意を促すことが誰でもできるはずなのです。

 

先日、「日本議員団、今年も200人以上が訪韓へ」というふざけたニュースが流れてきましたが、もし、日本の全ての有権者がきちんと自分の選挙区選出の議員の行動を監視していれば、国会議員団が200人も韓国に行くなどというバカげた話は実現しないはずです。

 

このニュースは本当に驚いてしまいました。あまりにもセンスがない。韓国側は国際外交でしくじってばかりいますから、自分から謝ることはなく日本と関係修復したいはずです。大使が、訪韓を要請に来たら、へらへら「努力する」なんて言わず、「考えておく」で良かったはず。バカじゃない?

今、日本と韓国はかつてないほど緊張状態にあります。日本国民の大半が、韓国政府やその市民の考え方、やり方に対して不快感を持っています。こういう時に、わざわざ国会議員が200人がも韓国に出かけて頭を下げる必要がどこにあるのでしょう?

不快感があれば、それを伝えることも外国人との付き合いには必要です。へらへら笑って相手が理解してくれると思うなら大間違い。

私は、これは有権者に対する裏切り行為だと思います。毎年やっている事業なら、なおさら、この時期に訪韓を見合わせることで、日本国民の意志を示すことができるはず

日本の皆さんにお願いしたいことは、自分の選挙区選出の議員一人ひとりに参加理由を詰問することです。先ほども書いた通り、今はだれでもネットで書き込みができる時代。二階某をつるし上げるのはマスコミでいい。韓国訪問団に参加すると表明した議員、一人ひとりの選挙区民がその意図を問い、行くことが妥当なのかを問うべきなのです。

 

などと怒りまくっていたら、先ほど、今度は野党が審議拒否で40日間休み、などというたわけたニュースも入ってきました。なんでしょう?これ?本当でしょうか?国民が納得し、与党が受け入れざるを得ないような政策を提示して与党を抑えるのが野党の役目のはず。欠席してたら何もできないじゃないですか(怒)。

 

いつか帰国したら、厳しい有権者になろうと思います。