英国の庭から~海外生活ブログです

オランダで還暦を迎えた駐妻。英国での5年弱、2度目の駐在生活を終え、オランダ生活も3年を過ぎてしまいました。けたところでロックダウン入り。できる範囲で何をしようかと模索中。

地方選で二大政党大敗でブレグジットはどうなる(ブレグジット その32)

先週木曜日、5月2日に、イングランドと北アイルランドで統一地方選挙が行われました。イングランドでは175の自治体の8,410議席が、北アイルランドでは11の自治体の462議席が改選されました。

 

 

選挙結果は、二大政党の大敗

選挙結果は3日金曜日1日かかって発表されたのですが、その結果、メイ首相率いる保守党は改選前から1,330議席減らすというほぼ四半世紀ぶりの大敗となりました、また、労働党も84議席減、強硬に離脱を主張してきた、ナイジェル・ファラージ前党首が離党したイギリス独立党(UKIP)も145議席減となりました。一方、残留を主張してきた自由民主党が704議席も伸ばす大躍進、さらに無所属議員も大幅に増加しました。

 

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ブレグジットの行方は依然として混とん


 この選挙結果から、各メディアは、国民がブレグジットに関する議会での混乱に嫌気がさして二大政党を罰したと報道しているのですが、国民がどう嫌気がさしたかという分析で各紙全く違っています。今回の選挙では、ロンドンなどの都市部が対象になっていなくて、もともとブレグジットを選択したイングランドの町や村が中心だったのですが、かねがねブレグジット派を標ぼうしてきたテレグラフ紙などが、「ブレグジットが速やかに実現しなかったことへの怒り」と分析したのに対して、残留派のイブニング・スタンダード紙などは、自由民主党や無所属議員が当選したのだから、「残留派に転じた人が増えた証」としています。

 

また、敗北を受けて、メイ首相とコービン党首は「ブレグジットに関する両党の話し合いを進め、速やかにブレグジットを実現する必要がある」と語りました。しかし、それが民意なのかはわかりません。ツィッター上では作家のロバート・ハリス氏が「残留を標ぼうする党が躍進したのに二大政党の見解はおかしい」と書いても、多くの「いいね♥️」がついていました。しかし、実際のところ、多くの人が「保守党はけしからんが、労働党もダメダメ」と感じたのは事実ですが、その理由は、まちまちのようです。

 

というわけで、今回の大敗北の責任について党内から今まで以上に辞任要求がメイ首相に突き付けられるのは間違いないのですが、英国も月曜日が祝日だったこともあり、静かな状態です。

 

今後どのくらいメイ首相がゾンビ状態のまま居座り続けるのかが注目されます。また、コービン党首も、そのよくわからない人気に陰りが見えます。元々労働党内で議員たちから何度も彼を引きずりおろそうという動きがあったものの、一般党員からの根強い支持があり失敗してきたのです(労働党は全党員の人気投票で党首を選ぶ仕組みです)。しかし支持してきた若年層が離れつつあります。かくして世の中の関心は、ブレグジットから政局に移りつつあるような感じもあります。

 

というわけで今回の漫画ですが、メイ首相とコービン党首が「これは進むべき?止まるべき?」と迷っている絵です。

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Nicola Jennings Guardian紙5月5日付より