英国の庭から~海外生活ブログです

欧州調査歴25年以上のリサーチャー兼駐在員妻です。英国在住歴は通算10年。庭仕事のかたわら、言いたい放題つぶやきます。

BBC ガーデナーズ・ワールド( 2019年 第8回)

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BBCの人気園芸番組ガーデナーズ・ワールド、今回(4月26日放映分)も1時間番組で盛り沢山の内容でした。ポイントは以下の通り。

多年生植物には支柱が必要(今の時期の作業)

ボーダー花壇に植えた多年生植物は春になるとあっという間に成長して、大雨や強風の後に自らの重さを支え切れずに倒壊してしまうことがあります。だから春、早い時期に支柱などで固定しておきましょう(ステーキングといいます)。特に、背の高い植物や大きな花を持つ種類はしっかりとした支柱が必要。

番組メインキャスターのモンティ・ドンは自分の庭のアーティーチョーク(さらに、隠れた場所に針金などでサポートの葉の影にU字型の針金を地面に挿して葉を支えるようにしていました。こうすることで、よりよく成長した目もよくなります。

乾燥に強い植物を植える(今の時期の作業)

温暖化が進み、気候変動により雨不足の年も増えていく中、より乾燥に強い植物を選んで、少ない水で園芸をしていくことが課題となっています。

モンティの庭Longmeadowには、南からの日差しがきつく乾燥しがちなDry Gardenがあります。ここは家を買ったときから石ころだらけの場所で、地下に多孔質岩が広がり、上の土は赤い砂質で砂利だらけだったそうです。しかし、そのような悪条件で育つ植物を選んで植えたことで、昨年夏の水不足の時期にも元気でした。しかし、それに甘んじると、だんだん強いものだけが残って良さを維持できないので、春のこの時期、新たに植物を足したり、強すくて茂りすぎたもの(アカンサスなど)を剪定していくと説明しました。

この場所は本当にロクでもない環境なのですが、それでも強い植物は旺盛に育っていて、「どんな石ころだらけの環境でもそれに適した植物を選べば良い、あきらめることはないですよ」とモンティ。今回選んだのは、バーバスカム(Verbascum Christo Yellow Lightoning) とセファラリア(Cepharalia gigantea)です。バーバスカムは有名な写真家兼園芸家のクリストファー・ロイドによって発見された品種だそうです。

 

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バーバスカムとセファラリア

サボテン、多肉植物の育て方(王立キュー植物園訪問)

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乾燥に強い植物に関連して、番組サブキャスターのニック・ベイリーが王立キューガーデンを訪問、観葉植物を紹介するとともに、サボテンと多肉植物の育て方を教えてくれました。サボテンと多肉植物は、非常に小さく複雑なものから建築的構造で印象的なものまで非常に多様な種類があります.

そのため、誰でも自分に合うサボテンや多肉植物を選んで育てることができます。価格が安くて丈夫、水やり頻度の少なさ、室内(窓辺)で十分育つことなどから、現代人の生活スタイルにマッチしています。

さて、番組で紹介されたのは以下のサボテンたち。

Crassula portulacea,Crassula ovata (Jade plant, lucky plantの異名を持ち、日本では「金のなる木」と知られているもの)

Echinocactus grusonii (Mother in laws cussion 英国では室内で育てること。)

Opuntia microdasys (Bunny ears 21度以上の室内で育てること。ただし冬は暖房のない部屋で。)

Mammillaria geminispina (Twin spined cactus 窓辺でOK)

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左がOpuntia,右がMammillaria

Euphorbia Canariensis

これはちょっと枝をもいで、乾燥させておくだけ、あるいはちょっと用土に入れるだけで発根するとしています。

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Lithops (licing stones)

Discorea elephantipes(Elephant foot)

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左がLithops, 右がDiscorea

多肉植物の中でも最も普及しているAloe veraを例に増やし方の実演がありました。既に鉢の中で子株が形成されているものを選んで、鉢から取り出し、(必要なら親株から引き裂いて構わない)、数日、そのまま外に出して乾かし、別の鉢に植えこむこと。その際、用土の配分は50%は土(腐葉土含む)、50%は小石やパーライトとしています。またそのまま窓辺に置くこと。水やりは数日後から開始します。 

多肉植物(サボテン含む)の育て方については、水やりが一番難しいと説明しています。水やりをする場合、指先を用土の中につっこんでみて、湿り気を全然感じないようになるまで水やり不要だということです。

サボテンや多肉植物は、用土が完全に乾いてから水をやるのが健康に育てる秘訣だそうです。

 

室内植物クリニック

室内植物のがうまくいかないというのは多くの場合、次の共通の問題があるとモンティは指摘しています。

(1)容器の底に穴がないため、根腐れしてしまう。

穴がある容器を使うか、水やりしたら、完全に水が切る(流しなどで水やりすると良いということですね)

(2)室内の高温・乾燥に耐えられない 

室内植物の多くは、湿っていて日陰が好きですが、室内(特に冬季の英国の室内)は高温で乾燥しているので、植物が傷んでしまう。葉全体に霧吹きを定期的(毎朝とか)に行うこと。

(3)オリズルラン(Spider Plant)の株分け 

コンポスト(土と腐葉土のミックス)にパーライトを3混ぜた用土に子株を植え付ける。毎日霧吹きをするが、水やりは土が乾いてからでよい。

(4)肥料のやり方

室内植物は、肥料を必要とするが肥料をやるのは、成長期のみ。葉が大きく育つ時期は窒素肥料、花が育つ時期はカリウム肥料が必要。市販のトマト用肥料は、使い易い。Montyは海藻肥料をやっているが控えめにしている。くれぐれも肥料のやりすぎは禁物。

 

柑橘類の育て方(サセックスのナーサリー訪問)

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柑橘類は英国では、遅霜が終わるまでは温室の中、春から秋までは戸外で育てます。つまり、柑橘類は鉢植えでしか栽培できないのです。

柑橘類をうまく育て、楽しむための秘訣を聞きにウェスト・サセックスの柑橘類専門農園ザ・シトラス・センターを番組が訪ねました。同農園では140種類以上の柑橘類を育てているそうです。

夏は戸外で日当たりの良い場所に、冬は氷点下にならない明るい場所におけばよく、手間のかからない植物だそうです。大事なことは、春先に極めて強く剪定すること。それにより、株全体が更新され新しい花芽がつくそうです。強剪定は春先のみですが、柑橘類の成長は早いので、伸びすぎた枝の先をピンチしたり、軽く剪定することも必要で、軽い剪定は1年中いつでもOKとのことです。

普段の手入れは、水やりが一番大事ですが、水やりは完全に土が乾いてから。水が切れたのを確認できるのは、葉が少ししおれた感じになっているか、土が粉のような感じになるのを確かめて。水やりは、大鉢1つあたり、10リットル位。水を切らしては、たっぷりやるというのが秘訣。柑橘類を育てていると、春は花の香がすばらしいそうです。

初心者が育てやすい品種を3つあげてもらいました。

1.カラマンシー(シキキツ四季橘)

四季を通して結実し、育てやすいそうです。 

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2.四季成りレモン 

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3.タヒチタイム

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前庭の模様替え(手入れが楽で、色鮮やかな庭にしたい)

番組サブキャスターのアダム・フロストはリンカーンシャーに住む主婦フィービーの前庭を1日で改善することにしました。

英国の庭付き住宅には前庭と裏庭があるのが一般的です。前庭は、外界との境にあって、外界と半分共有したスペースながら、家主の自由にデザインできる部分という位置づけです。

今回は、体に障害を抱える主婦フィービーが、道路で子供たちが自転車に乗る様子をみたり、四季の変化を楽しめるカラフルな庭にしたいとの要望に応えるものです。足が不自由で疲れやすいというフィービーに配慮してメンテナンスが楽な植物を選び、空間を広げました。

作業前と作業後をご覧ください。作業にはフィービーの兄弟が強力しました。

花があまりなく、緑が多すぎること、窓際のブドレアが成長し過ぎて部屋を暗くしているうえに風が吹くたびに窓にあたっていやだったことなどから、ブドレアを抜いて、その部分を花壇にしました。

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左がBefore, 右がAfterです。
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上から見た様子です。左がBefore, 右がAfterです。

フィービーの障害は、片足を膝から切断したせいです。膝を切断することになった理由が、血栓による壊死であり、血栓は肺がんのせいでできた、と番組の中で淡々と語られます。庭作業をしながらそれを聞いたアダムも「それは大変だったね」としか言えず、番組をボケっと見ていた私もびっくりしました。 

ケントの街ファヴァシャムの脱プラスチックへの取り組み

ところで、近年、急速に世界中で関心が高まっているのが、プラスチックを減らそうという動きです。Gardeners‘ Worldが昨年、この問題を大きくとりあげたほか、英国の園芸産業界が使用済みのポットを回収したり、プラスチック使用量削減に向けた取り組みを本格化させつつあります。特に育苗、販売に使われている黒いポットは英国だけで年間5億個が廃棄されているのです。

黒いプラスチック容器がリサイクルされない理由の1つとして、ゴミ分別場の分別機に反応しないことがありました。そこで昨年、トープ色(Taupe 茶色がかった灰色)のプラスチック容器が開発されました。先日訪問したチャールズ皇太子の庭の売店でもこの色の容器に入れられたバラが販売されていました。

しかし、現状ではまだ英国の自治体がプラスチックの回収・再利用をするような法制度ができていないのです。このため、ほとんどの自治体が、リサイクルの仕組みを作らないまま分別さえせずに一般ごみと一緒に回収して、埋め立てあるいは焼却しています。

 

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左が従来のもの。右が新しいトープ色の容器。

 

こうした中、番組サブキャスターのアリット・アンダーソンが、脱プラスチックを宣言したケントの町ファヴァシャムFavershamに出かけて、プラスチックの使用量を減らすために園芸関連分野でどのようなアイデアが出ているかを取材してきました。

地元の種苗業者(ナーサリー) Edible Culture Nursery の取り組み

ナーサリーの経営者クリスとデービッドは、黒いプラスチックのポットはその丈夫さ、保温性(根の保温ができることで成長を助ける)などで、当面は使用することとしたと説明しました。しかし、それを顧客に渡せば、そのまま廃棄処分となってしまうことから、販売時にリサイクル可能な材質(紙)の容器に入れて販売することにしました。苗を育てている黒いポットは可能な限り使いまわし、最終的にはナーサリーの中で、リサイクル加工できないかと考えているとのことです。

苗は、写真のようなパスタ容器にヒントを得て作った紙の容器に入れて販売、薬品(肥料や殺虫剤)は詰め替えができるガラスのボトル、土は布で作ったバッグで販売しています。

https://edibleculture.co.uk/

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箱をとめるのは木のスティックです
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販売コーナーと詰め替え式の用土バッグ

アビー・フィジック・コミュニティ・ガーデンの取り組み

アリットが訪問したもう一つの庭が、地元の慈善団体が運営するアビー・フィジック・コミュニティ・ガーデンAbbey Physic Community Gardenです。16世紀の僧院の庭が、心に病が会ったり、体に不自由がある人のための庭として管理運営されていて、一般に公開されているそうです。

ここでもなるべくプラスチック使わないという方針のもと、卵の殻を器として種を撒いたり、段ボールを使って苗を植えたりと工夫しています。ここは、入場料無料で公開されており、市民の憩いの場となっているようです。

https://www.visitkent.co.uk/attractions/abbey-physic-community-garden-1812/

 

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Abbey Physic Garden

BBC Gardeners’ Worldが画期的なプラスチック代替品を募集中

プラスチックについては、Montyの提案は、英国の自治体がリサイクルできるようになるまで、当面は黒いプラスチック容器を使えるだけ使うというものでした。そのためには、年に1回は徹底的に洗うこと、使わない時は極力日光を避けて保管するようにとのことでした(日光により劣化が進むので)。

また、モンティ自身が、実際に使ってみて、現在、市場に出ているプラスチック代替品を試してみたところ、次のような結果でまだ満足のいく品はないとの結論です。

 

1.Taupe色の容器

 これは、自治体のリサイクルシステムがまだできていない。確立するまでは、洗って再利用に勤めること

2.紙や木を再利用した容器

溶けるまでの時間が短すぎて2月に植えた苗を6月に地植えするような場合には全く使えない

3.ココナツ繊維でできた鉢

そのまま植え込みに使えるといううたい文句だが、ココナツ繊維が密すぎて、根が出て行かないため使えない。

4.時間とともに分解するプラスチック状の容器

試してみたが、分解する過程で鋭いとがった破片が根を傷めてしまう。植物の根に害が出てしまう。

 

もし視聴者の中で、画期的なプラスチック代替品があれば試したいので番組を通じてご連絡くださいとのことです。

 

今週の作業 

1.かぼちゃ、コーン、つる性豆の種撒き

かぼちゃ(打木赤皮甘栗カボチャでした)は2粒ずつポットに蒔く。土は肥料分のはいったものをのはいったもの。発芽にはある程度、温度を要する。

スウィートコーンは発芽すると根が長くのびて干渉を嫌うので、プラグ苗専用の容器で1粒ずつ蒔くと良い。

つる性の豆は特に注意事項なし

2.ディクソニア アンタルクティカ

冬越しのための保護をはずし剪定

3.パースニップの種撒き

人参も併せてすきまに撒くと良い

4.雑草を抜く

根が育つまでに抜くと楽 雑草かどうかわからない場合は育つまで待つ

5.ヒマワリの種を撒く

ポットに撒き6月に地植え 

<感想>

前回もそうでしたが、1時間番組になって、情報量が多く、じっくり見てメモをとるのが大変。皆さんお気づきでしょうが、字幕を付けて見ています。それでも、植物の名前など、聞き逃してしまいます。英語の聞き取りの練習にはなるし、それ以上に内容が面白いので、何度も見直しすることでとても勉強になっています。

今回は特に、脱プラスチックの話が面白いと思いました。英国で使われている黒いポットは日本のような柔らかいポリポットではなく、もっと固くてかさばるものです。我が家にもたくさんあって、これを捨てていくのが申し訳ない感じです。

それと、肺がんで足を失っても前向きに暮らしているフィービーという女性にも感動しました。英国の夏時間は、晴れてさえいれば、蚊も少ないし、「もう一部屋」という位置づけです。模様替えされた庭で楽しめるといいなぁと思いました。

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フィービーさんとアダム。