英国の庭から~海外生活ブログです

オランダで還暦を迎えた駐妻。英国での5年弱、2度目の駐在生活を終え、オランダ生活も3年を過ぎてしまいました。けたところでロックダウン入り。できる範囲で何をしようかと模索中。

BBC ガーデナーズ・ワールド(2019年第9回)

BBCの人気番組ガーデナーズ・ワールドの第9回(5月3日(金)放映分)について報告します。

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番組は英国在住の方はiplayerなどで1カ月くらいの間は見ることができるようです。

https://www.bbc.co.uk/iplayer/episode/m0004pbz/gardeners-world-2019-episode-9

今回のポイントは以下の通り。

 

庭のボーダーに春の彩りを追加する

 今回はいつものメインキャスターのモンティ・ドンが米国に出張中のため、アダム・フロストがメインキャスターをつとめました。彼のケンブリッジシャーにある自宅の庭からの放送でしたが、その庭が素敵。開放感があって、特に温室と作業コーナーが素朴で良い感じ。

 

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窓辺をつたう藤も素敵。あぁ、こんな家に住んで自分の好きに庭をいじれたらいいなぁ・・壁の色合いが明るくて、英国に多い重そうなレンガ色じゃないのもいいし。

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さてさて、その素敵な庭にはまだ手付かずのボーダーが多々あるようです。冬の間に準備したボーダーに春の彩りを加えるため、多年草を植える作業からスタートしました。

植えつけたのは、朱赤の花をつけるユーフォルビア・ファイアグロー、半日陰が好きで、青紫色の花を次々につけるエゾハナシノブをワインレッドのアザミの横に植え付けました。また、オレンジ色の花をつけるゲウム・トータリータンジェリンもエゾハナシノブの青と良い対照になるということで植え付けました。英国王立園芸協会(RHS)の説明のサイトにリンクしていますので、ご関心があればご覧ください。
ユーフォルビア・ファイアグローEuphorbia griffithii 'Fireglow'

エゾハナシノブPolemonium yezoense var. hidakanum Bressingham Purple = 'Polbress'
Hokkaido Jacob's ladder [Bressingham Purple]

ゲウム・トータリータンジェリンGeum totally tangerine

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左からEuphorbia,Polemonium,Geum

植え付けの時、株の入った鉢の倍の深さの穴を掘るようにすると良いとのことです。しかし、深すぎないように植え付けなくてはいけません。また、周囲に空気穴ができないように注意して埋めなくてはいけません。

また、アダムは今回使ったエゾハナシノブが「まだなよなよしていて、温室かコールドフレームの下で育ったと思う」といって、ばっさりと高さ3分の1ぐらいのところで葉を残して切ってしまいいました。根の回ったオレンジのゲウムについては、回った根をむしるように引きはがしてから植えつけました。このまま、花殻摘みを行い、世話していけば、それぞれの宿根草は直径1メートル近くに育つはずとのことです。

エキゾチックな野菜は原産地の環境に合わせた用土に植え付ける

アダムは菜園で、エキゾチックな野菜を育てるのが好きだそうで、わさびを植えていました。また、昨年は塩湿地にしか育たないアツケシソウ(Salicornia europaea)を植えて、お子さんに留守中の水やりを頼んだようですが、枯れてしまったそうです。

今年はイタリアのアグレッテイ(Agretti、オカヒジキの仲間でパスタやサラダとして食べる野菜)に挑戦することにしました。しかし、試したところ、せいぜい4割位しか発芽しません。

そこで、乾燥したイタリアの環境に近づけるために、コンポスト(土と腐葉土、砂の混合)とパーライト、小砂利(グリットと呼びます)を混ぜ合わせた用土で再挑戦することに。用土に先に水をやって湿らしたところに1㎝位の深さの穴をあけて、そっとまいて土をかけました。

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このほか、四角い容器を2つシンメトリカルに配して小さな池を作りました。周りにイングリッシュ・ボックス(英国柘植)を規則正しく植え込み、育ったら刈り込むとのことです。

満開のチューリップを見にダンスボローパークへ

キャロル・クレインは、チューリップが満開のサリーのダンスボローパークDunsborough Park Gardens を訪問しました。同じ種類のチューリップが兵隊のように規則正しく植えられるのではなく、他の植物と組み合わせて自然な雰囲気に植えられているのが英国式です。花壇に植えられていた品種としては次のものが紹介されていました。
Tulipa ‘Purissima’ – White Emperor Tulip
Tulipa ‘Tom Pouce’
Tulipa ‘Oranjezon’

しかし、もっと素敵で英国らしいのが、チューリップの野原(meadow)です。これは前年に終わったチューリップを12月にランダムに芝地に植え付けたもののようです。

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チューリップの育て方について、キャロルは次の点が重要としています。

1.良い球根を選ぶこと、

2.日当たりの良いところに植え付けること、

3.深く植え付けること(8インチ以上の深さ)、

4.水はけをよくするため、球根の周りに入れるコンポストには砂利を混ぜる、

5.植え付けは遅めにする方が良い(上記の野原は12月に植え付け)

 

エルダーフラワーを大切に(Respect your elders)

エルダーフラワーのナショナルコレクションホルダー保有者であるエド・ブラウン氏を訪ね、その繁殖、育て方を取材しました。この部分のタイトルは英語を直訳すると「年寄りをいたわって」ともとれますので、それとかけているのかもしれません。ナショナルコレクションホルダーというのは、次世代に向けてその品種を育成し継続する役割を担っているとPlant Heritageから認定された人のことです。

エルダーフラワーというのは、白い花を咲かせる「西洋ニワトコ」の木です。昔から英国や北欧で、庭木として植えられ、その花、実、葉からドリンク(コーディアルと呼ぶ)やお酒を造ってきました。「ニワトコ酒」と言うのが、庶民の飲み物として、よく西洋の小説に出てきますがこれです。

さて、ブラウン氏によれば、これまでエルダーフラワーは126種あったが、そこにさらに11種を育種したそうです。何千種もかけあわせてようやく新種が1つでき、さらにそれを育てるのに5年はかかるそうです。素敵な新種を生み出してすばらしいシャンパンやコーディアルを作るのが目標だそう。

新種開発のきっかけは、エルダーフラワーを育てていたら、ある時、様々な香りがあることに気が付いたそうです。さらに一般に白と言われる花にも、実際にはかなり濃いピンクや紫に近いものがあることに気が付いたそうです。こうして開発された新種にはチョコレートやマジパン、チェリーなどに酷似した香りがあるそうで、そこから抽出したシャンパンを満足そうに飲んでいました。

 

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エルダーフラワーは育てやすい木ですが、「大切に扱わなければいけない」とブラウン氏。1年間の花の採取量をその木の30%未満に抑えること。そうしないと、木はその年のうち新たに花を咲かせようとして疲労し、具合が悪くなってしまうのだそうです。

実は我が家の庭にもありました。あまり香りが良いとは感じませんでしたが、花からどうやってエルダーコーディアルを作るのか、調べて別途ご紹介できれば‥と思います。

 

蜂を増やすため、蜂が好む木々を植える 

フランシス・トップヒルはグラブタイ・マナー・ホテル(Gravetye Manor)を訪問し、その庭に広がる庭園を見学、蜂の保護に適切な植栽について語りました。
 この10年で農薬の多様、病気、農業技術の変化、都市の拡大などによって、英国の蜂は3分の1に激減してしまったのです。何とか絶滅の危機から救わなければいけません。蜂たちに蜜や花粉を提供する木として次の5本の木を勧めていました。ちなみに、マルハナバチは寒さに強いがミツバチは弱いそうです

蜂の保護に関する活動についてご関心がある方は次のサイトもご覧ください。

Trees for bees 

RHS:Which bees am I likely to see?

エリカの木 Erica arborea Tree heath
アメランチェア Amelanchier lamarckii
ハナズオウ Cercis canadensis 'Forest Pansy' 
柳葉梨 Pyrus salicifolia 'Pendula' 
桜(太白)Prunus Taihaku

 

園芸家ジョー・ブルックスの庭デンマンズを訪問

マーク・レーンは、20世紀を代表するガーデンデザイナー、ジョン・ブルックスが作り上げたデンマンズ庭園を訪問しました。

もともとこの庭は、ロビンソン夫妻という青果商のご夫妻が所有しており、ロンドンのコベントガーデン花市場で売る花を栽培する農園でした。しかし、妻のジョイス・ロビンソン夫人は1950年代以降、園芸に関する本を書いたり、各地に旅しては植物を集め、60年代から70年代にかけて農園から温室を備えた庭園に作り替えました。地中海への旅でヒントを得て作った砂利を敷き詰めた2つの河床のような流れや砂利庭園、エキゾチックな植栽などが特徴です。

この庭に魅せられたジョン・ブルックスは、1980代に入って敷地の一部に自分が住むためのガーデンハウズの建設を認めさせ、さらに自分に庭の管理を任せるようロビンソン夫人を説得、庭園を再設計しました。既に当時、庭のデザインに関する25冊以上の本を書き、実際にロビンソン夫人と深い交流があったこともあって、その要望は認められ、ロビンソン夫人の植栽を維持し拡大しながら、彼は花壇を配置し直し、乾燥した河床の終わりに池を追加しました。ブルックスは2018年3月に亡くなるまでデンマンズに住み、現在、庭園はJohn Brookes-Denmans Foundationによって運営されているそうです。

ジョン・ブルックスは、庭をその家の「もう一つの部屋」として演出したデザイナーでした。庭には彼の憩いの象徴であるブルーの椅子が残されています。

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ロンドンの室内庭園「ジェイミーのジャングル」

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室内植物に魅せられたジェイミー・ソンの「ジャングル」をご紹介します。

今、世界的に室内植物ブームですが、ジェイミーの庭はご覧の通り、室内です。多くの鉢を天井からつるし、空間をフルに使って飾っています。それぞれの植物に合う鉢に凝ることがこだわりだそうです。目下、ご自慢の植物として紹介されたのは次の4つの植物です。

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左からオキザリス、フィロデンドロン、ジュエルオーキッド
  • ポトス(Epiremnum aureum ‘Neon’ Pothos) 明るい色のポトス。ポトスはふつう、植木鉢に植えて、葉は下向きに垂れていますが、Jamieはそもそもポトスは上向きに壁を伝って伸びていく習性があるとして、上向きに枝を伸ばしていました。
  • オキザリス ・トライアングラリス(Oxiaris triangularis)ブラジル産のカタバミの一種。これほど花が大きいものは英国では少ないと自負しているらしいです。
  • フィロデンドロン・ザナドゥ(Philodendron Xanadu)この木に日光をあてたくて天窓まで作ってあげた由。
  • ジュエルオーキッド(宝石蘭)ルディシア・ディスカラー「ブラックジュエル」Ludisia discolor Black jewel orchid  12~1月には花が咲く予定ですが、葉が美しい植物です。

この中では、私はジュエルオーキッドを育ててみたいと思いました。 

 

今の時期に訪問するのにお勧めの庭

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ノーザンプトンのコトンマナー Coton Manor  ブルーベルが満開です。

www.cotonmanor.co.uk


 ウェールズのアバーグラスニー・ガーデンAberglasney gardenは色とりどりの宿根草(プリムラ、カメシアなど)が満開

aberglasney.org

 コーンウォールのトレバー・ガーデンでは椿が満開www.trebahgarden.co.uk


 エジンバラの王立植物園では山野草が見頃

http://www.rbge.org.uk


 フォーデアビーガーデンズ (www.fordeabbey.co.uk) チューリップが満開

www.fordeabbey.co.uk


 王立園芸協会本部の庭ウィズリーガーデンではナショナルガーデニングウィークの催しが行われています。

www.rhs.org.uk

週末の仕事

  • 害虫をチェック(アブラムシは手で取る、野菜・フルーツ類には網をかける)
  • 低温に弱い植物をそろそろ外へ。温室やコールドフレームの換気をよくすること、温室内においていた植物は昼間だけ1週間くらい外に出して夜は取り込みという方法で徐々に外気温にならすこと 
  • 花が終わった灌木類に肥料をあげましょう(総合肥料やチキンペレットなど)