議会によるブレグジットに関する重要採決3日目の今夜は、「EU離脱を延期するかどうか」についての採決が行われました。それとは別に各議員から提出された、他の動議の中からバーコウ議長が選んだいくつかの議案が採決にかけられました。
まず、メインの法案であるメイ首相が提出した離脱時期を6月30日まで延長するという議案ですが、賛成412票、反対202票の大差で可決されました。党による拘束がされなかった結果、保守党の票は見事に分かれてました。党内の分裂が深刻過ぎて収拾がつかないというのが、よくわかりますね。
今日の投票のもう一つの目玉は、再度国民投票を行うという動議でした。こちらは反対334票、賛成85票、棄権223票という大差で否決されていますが、労働党は党員に棄権するよう指示したのですが、選挙区民が離脱を選んだ党員が「反対」に投じたり、逆に残留派で「賛成」に投じた議員がいたようです。
さて、今後がどうなるかということですが、 これはメイ首相が提出した議案に書き込まれていることがわかりま した。(最初にこのブログを書いた際、 眠くて読む余力がなかったので、あとから書き直しています)
議案のポイントは次の3点。
(1)EUに離脱期限の延長を求。
(2)2018年EU離脱法13条に基づき、 6月30日までの1回限りの延長をEUに求める。
(3) 3月20日までにEUと合意した離脱案が下院で承認を得られなか った場合、 翌日に開催される欧州理事会から期間延長の明確な目的を求められるだろう。さらに延長期間が6月30日以降になれば、 英国は2019年5月に開催される欧州議会選挙に参加することが 必要。
3月20日までというのは、 今回、政府が離脱合意案の議会通過の最終目標として出してきた日です。ここで何とか国会の承認が得られれば、諸手続きのために延長が必要だとEUを説得できると考えているのです。しかし、2回目の投票の差が100票以上と大きく、強硬離脱派は3~ 40人、DUPを説得できても10人ですから、 3回目の実施は票の取りまとめがうまく行けば‥という条件付きのようです。3月20日に本当に3度目の投票が行われるのかどうか、現時点では確定していないと思います。
また、英国議会側はEU離脱延期を決めたのですが、実際に延期できるか、あるいはノー・ディールとなってしまうかは3月21日のEU首脳会議の場でメイ首相が要請してから判断されることになります。今度はEU側がどのように考えるか、これも加盟国で温度差があるので、全く読めません。
英国内にも、3カ月延長したからといて、これまでと同じことの繰り返しになるのでは?という意見が強いです。次は総選挙の要求が強まるかもしれませんが、英国人の同僚に聞くと、保守党には2度と投票したくないけど、コービンが党首の労働党も嫌だ。その間にまともな党がないのが英国の課題だ、と述べていて、既存政党離れは世界中共通の課題という気がします。
こうして政治家がだらだらしているうちに、多くの企業が英国を見限り、欧州医薬品庁も金融庁も移転し、どんどん空洞化していっているのですが、それでも「ノー・ディールの方が良い」と主張している人々がいるのが不思議です。今日の英国政治漫画は次のを選んでみました。(かなり怖い)
「ブレグジットはブレグジットよ」とメイ首相がひらひらととびまわっているうちに、議事堂が大破してしまうというものです。