BBCの人気番組ガーデナーズ・ワールドの第10回(5月10日(金)放映)分についておご報告します。
今回は前回お休みだったメインキャスターのモンティ・ドンが復活し、メインの撮影場所が彼の庭ロングメドウに戻りました。モンティ不在の間に、カマシアが満開となり、カマシアの薄紫の花が満開となったボーダーが最初に映し出され、とても美しかったです。カマシアは植え付けてから3年目のものだそうで、最初の1~2年を超えれば、あとはずっと美しく咲くようです。
今回はこのほか、5月9日~12日にウースターシャーのマルバーンで開催されていた英国王立園芸協会(RHS)の春のショウの報告が中心でした。
今回の主な内容は以下の通り。
5月中旬の庭仕事
1.ローズマリーの植え付けと選び方
2.もみじの苗木を植え付け
3.藤の誘引
4.トマト苗の鉢上げ
ローズマリーの植え付けと選び方
パラダイスガーデンは、モンティが留守にしている間にチューリップ「ホーンド・チューリップ(Tulipa acuminata Horned Tulip)」が満開となり、大変満足のいく形になってきたとご満悦でした。そこで、今度はヘッジプランツ(花壇周辺を生垣の様に取り囲む植物)としてローズマリー”Miss Jessopps Upright”を植えることにしました。
ローズマリー栽培のコツは1に水はけ、2に水はけと言うほど、水はけが必要です。日当たりが良く水はけがよいところなら丈夫に育つとしています。そこで、用土にたっぷり細かな砂利(grid)を混ぜて植えつけました。ローズマリーの花は2月~6月頃まで楽しめます。剪定は花後すぐに行うこと。ここで1つ大事な点として、ローズマリーの苗には英国内産だけでなく、南欧産のものがあります。実は今、南欧ではオリーブの木などにピアス病(Xylella fastidiosa )が大量発生していてオリーブの木などが大量に枯死していて、英国ではそれが持ち込まれるのを大変恐れているのです。だから、モンティは「出所がわからない苗は買わない」ことを勧めています。
もみじの植え付け
もみじは強い風が苦手だそうです。モンティは数年前にもみじを植えたものの風が良く当たる場所だったことからうまく育たなかったといって、今回は西側に小屋があり、風よけとなってくれる場所に大盃(オオサカズキ)を植えることにしました。
植え付けにあたって、水はけをよくするために根鉢の2倍程度の穴を掘り、そこに腐葉土と砂利をすき込みました。もみじは酸性土壌を好むため、シダやワラビで作った腐葉土(bracken)や松のバークなどを使うことを勧めていました。
また、もみじやカエデの苗は必ず接ぎ木してあることから、接いだ部分が必ず土の表面より上になるよう植え付けることが大事だと説明しました。水やりをよくすることと土の表面にクリスマスツリー(もみのき)などで作った腐葉土でマルチングすることを勧めました。
藤の誘引
モンティがよく質問されることとして、藤の花が咲かないというのがあるが、藤の花は植えてから約7年かかると言われているとして、花が咲いている苗を買うことを勧めていました。また、植え付け場所は南向きの壁面とし、6~8月の花後すぐに強剪定することを勧めていました。
トマトの苗の鉢上げ
2月に種まきしたトマト苗をそろそろ鉢に植え替える時期です。鉢のサイズは大きければ良いというものではなく、モンティは写真のような大きさの、小さめの鉢を愛用しているとのことでした。今回植えつけるトマトの種類はブラックチェリーとオックスハートいう種類。鉢に深く植えるのがコツで、下の方の葉は土に埋まって構いません。支柱を立てても良いですが、モンティは茎の根本に紐を結び付けそのまま温室の上の方の支柱に結わえ付けるという方法をとっていました。
一般の庭の訪問
狭い街中の庭でも森のような環境は作ることができる
番組はピーターバラに住むゲイのカップル ロバートとリチャードの庭を訪問しました。もともと、何もなかった小さな裏庭に12本の中・高木、50本の低木、250以上のホスタ(ギボウシ)を植えています。その結果、庭には森林のような環境が生み出されています。狭いスペースに木を植えたことで、木が巨大化するのを防いでいるのだそうです。
モンティによれば、ホスタは早春でないと株分けできないといわれているが、実際にやってみたら、うまくできた。ルールを破ることも大事、だそうです。
英国旧来種を守って次世代へ引き継ぐ
もう1つの庭はケンブリッジシャーに住むティモシー・クラーク氏の庭で、200年前から一族が暮らす屋敷の庭には6,000種の植物があり、いずれも昔、好んで植えられていたものが、忘れ去られて廃れた種類です。ブルーベルやエリシマム、チューリップなど400年も前に人気だった種類もあります。ティモシーは、プラントヘリテージ財団の認定を受け、これらの種類を次世代に引き継ぐ活動をしています。
春のRHSマルバーン・ショウの報告
番組は5月9日~12日にウースターシャーのマルバーンで開催された英国王立園芸協会のフラワーショウからの中継となりました。大きく、ショーガーデン(大きなモデルガーデン)、シップコンテナガーデン(小さいモデルガーデン)、花の大テント(育苗業者の展示)から成ります。この3つを3人のサブキャスターが分担して紹介しました。
ショーガーデン部門
アダム・フロストが紹介したのは新進気鋭のガーデンデザイナ、ピーター・ドウルがデザインしたThe Leaf Creative Gardeです。今回金賞を獲得したこの庭には弧を描く池に葉の妖精のような彫像が配され、印象的な庭となっています。
シップコンテナガーデン
このコーナーはフランシス・トップヒルが担当でした。船に積み込む40フィートコンテナサイズで、”Green Living Space Gardens”というコンセプトで庭に面したリビングを作るようにと言うのが課題だったようです。このショウでは初めての試みということで5つの展示がありました。
大テント内の苗の展示
上記の大がかりなモデル庭園とは別に、大テントの中では、育苗業者による展示がありました。RHSの多くのフラワーショウでは、その場で苗を注文したり、一部の苗については購入も可能です。このコーナーの報告はキャロル・クレインが担当でした。
下の花は、キャロルが素敵とみせた、一見地味だけれども1つ1つ繊細な美しさがある宿根草類です。
ポリゴナタムと言う種類です。日本ではナルコユリ、アマドコロといった植物の仲間ではないかと思います。(不勉強ですみません)グラウンドカバーに向いた植物です。
左下のはソルバリア、葉がきれいだとほめていましたがナナカマドのようです。
日本ではあまりめずらしくないブーゲンビリアが紹介され、ツィッターなどでも「きれい、これはなんだっけ?」と質問されていました。温暖化が英国にも及んでおり、だんだんこういった南国の植物が注目されています。
初出展企業へのインタビュー
番組では、今回初めて出展したサフォークのヘッジホッグ プランツ&ガーデンズを訪問して、出展の意義や苦労を聞きました。経営者のご夫妻は、苦労は多いけれども「社交が楽しい」と語っていました。こちらの店では、珍しい植物を多数そろえているの特徴で、いくつかお勧めの植物を挙げていました。
名前だけご紹介
Epimedium "Spine Tingler"
Epimedium x omeiense "Stormcloud"
Epimedium pubigerum
Acer japonicum "Aconitifolium"
Viburnum x burkwoodii "Anne Russel"
Lonicera syringantha (Lilac- flowered honey suckle)
今週の作業
1.ダリアの摘芯(ピンチ)
育ち始めたダリアの摘心をすることで、分枝を促し、秋により多く、長く楽しめるようにする。
2.ジャガイモを地植えにする
植え替えた後、このように藁などで覆ってやると良い。
3.来年用に宿根草の種を撒く
宿根草というのは、たとえばウォールフラワー(エリシマム)などです。トレイにコンポストを入れ、種を撒き、バーミキュライトなどで覆土して世話しておくと、冬から花をつけるということです。
ゐから
今回は一時帰国と重なりまとめるのがおそくなりました。勉強になるんですが、情報量が多すぎて時間がかかるし、時差ボケのせいで作業を始めるとすぐに眠くなってしまうのです。
次の回も放映済みなんですが、今日(22日)に今年最大の園芸イベントであるチェルシーフラワーショウに行くので、たぶんその報告が先になりそうです。写真が多いのでどうしたら軽くできるのかも試行錯誤中です。良いアドバイスがあればよろしくお願いします。