英国の庭から~海外生活ブログです

オランダで還暦を迎えた駐妻。英国での5年弱、2度目の駐在生活を終え、オランダ生活も3年を過ぎてしまいました。けたところでロックダウン入り。できる範囲で何をしようかと模索中。

南仏トゥールーズのスミレ

南西部フランスのトゥールーズは、フランスでも最もお気に入りの町の1つです。 

 

フランス第5の大都市で、エアバスの本社所在地としても知られていますが、日本では鹿島アントラーズの昌子源選手が移籍することで注目を集めています。

 

この町を私が知ったのは中学生の頃。「アンジェリク」という長編小説の舞台だったからです。木原敏江さんがコミック化していたり、宝塚で上演されたこともありますので、ご存知の方もいるかもしれません。トゥールーズはヒーローの故郷で、主人公は17歳でこの「バラ色の町」と呼ばれるこの町に嫁いだのです。

 

以来、「バラ色の町」を見てみたいと思いつつ機会がなく、2015年秋に意を決して2泊3日の一人旅をしました。同僚などから、「黒人が多い街だよ。産業都市だね」など冷たいことを言われていたのですが、ロンドンの方がずっと黒人人口も多く、怖いこともなく、大変、気に入ってしまいました。

 

ちなみになぜこの町が「バラ色」と呼ばれてきたかと言うと、この町の建物が中世の頃からレンガで作られていたからです。白い石を近隣から切り出して建材とすることが多かったフランスですが、トゥールーズ近郊では採掘できず、レンガを焼いて建物を作ったためだそうです。レンガ色については、英国が同様の理由でレンガだらけなので、むしろ懐かしい感じでした。 

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市の中心にある13世紀に作られたサン・セルナン大聖堂

 

ともあれ、気候が温暖で、食べ物はおいしく、町中にパステルブルーがあふれていて、魅力的な小さい店が沢山あって、とても楽しい町でした。家で「良かった、良かった」と繰り返したところ、夫も「行きたい」と言うので、昨夏、家族で再訪しました。

この町のシンボルはスミレです(他にパステルもありますが、それは別の機会に)。各種ウェブサイト等によると、19世紀(ナポレオン3世の時代)にイタリアに従軍した兵士が種を持ち帰って植えたのが広がったとされています。それを育てて花束を輸出する商売が発達したのですが、戦後廃れてしまったのを、80年代に地域再生産業として復活させたようです。土産物屋にはスミレの関連製品(砂糖漬け、ボンボン、室内香や香水など)があふれています。

トゥールーズのスミレにご関心があればこちら(英語)

https://www.lamaisondelaviolette.com/en/content/8-garden-side

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スミレグッズ専門店


「アンジェリク」は17世紀を舞台としてますので、当時この地域でどれほどスミレが使われていたのかはわかりませんが、ヒーローがスミレのボンボンを愛用していて、タバコとスミレの香りの混じったうっとりするようなキスをしてくれるのです。わぁお! いったいスミレの香りとはどんなものだろう・・とずっと興味がありました。

 

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お土産に買ったスミレのキャンディー、砂糖漬け

さて、トゥールーズでスミレの砂糖漬けやらキャンディーを買い込み(スミレの香りの甘い味です)、ガーデン好きの私としては、どうしても自分で同じスミレを育てて、砂糖漬けを作ってみたくなりてました。それに、パンジーやビオラも大好きですが、この素朴な昔風のスミレもかわいいですよね。

 

できればネットで種を注文したいところです。そこで、トゥールーズのスミレというのはどのようなものか調べてみました。

 

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Meilland Richardierの通販サイトより

調べてみたところ、Violette Odorante Parme de Toulouseという種類だということがわかりました。パルマ種の八重咲きのスミレです。種を探したところ、残念ながらこの花は種を作らず、地下茎で広がっていくと解説されています。フランス国内では、ガーデンセンターやその通販サイトなどで9cmポットに入れて販売されているのですが、国外配送サービスはあまり見当たりません。

 

上の写真の苗はこちらのアドレスで購入できるようです。

https://www.meillandrichardier.com/violette-double-de-toulouse.html

 

しかし、そうなると素朴な疑問が・・イタリアから兵士が種を持ち帰って‥という話は本当なのでしょうか?種がとれないんでしょ?当時は馬や徒歩で兵士はイタリアから戻ってきたわけで、何日間も苗を運ぶというのは変ですね。うーん。

 

気を取りなおして、同じパルマ種で英国内で購入できるものを探したところ、同系統のニオイスミレ(Viola odorata)のスウィートバイオレットという種類があり、これが一般に市販されていることがわかりました。トゥールーズのスミレと異なり、こちらは一重です。英国でも、昔から砂糖漬けにしてお菓子の飾りなどに使われていた様です。

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Viola Odorata, Sweet Violet, The Czar

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種専門店から購入

 上の方のスウィートバイオレットの写真は購入したウェブサイトのものです。
https://www.foodforests.eu/products/viola-odorata-sweet-violet-untreated

 

大晦日に種が届いたので、さっそく種蒔きしようと張り切ったのですが、秋か春に蒔くの方が良いようです。また、種蒔きまで常温保存してはダメではなく、一度真冬の低温にさらさないといけないようです。そこで、冷蔵庫の中にしまいました。2月頃、取り出して、蒔いてみようと思います。(苗も売っていることを発見しました。その方が楽だったかも。苗が150本もとれてもねぇ・・)

 

果たしてこの夏、砂糖漬けにできるくらい花が咲いてくれるでしょうか?