日本とEUのEPA協定が、12月8日に参議院で、12月12日に欧州議会で、賛成多数で承認されました。2月1日に発効するようです。
2月1日というのは、最速で発効する場合です。協定には両者が今月中に「協定を発効させますよ」という通告文書を交換して(公文交換と言います)、それから2カ月目の1日か、両者が合意した日に発効させるという条文があります。だから日本の外務省のページにはまだ日付は記載されていません。でも、EU側のページには2月発効と書かれています。
(2018年12月21日に公文交換が行われたので、2月1日発効で確定です。)
日・EU経済連携協定の効力発生のための外交上の公文の交換 | 外務省
このEPAですが、2011年に韓国がEUとFTAを発効させてしまったので、日本企業はずっと不利な状態でした。昔は日本ブランドが圧倒的に強かったテレビや自動車などの欧州市場シェアが、韓国ブランドにかなり奪われてしまったように思います。この辺で是非巻き返していただきたいものです。
交渉入り前の頃は、日本とのFTAに対して、特にドイツの自動車業界などが反対していました。でも、良くも悪くもトランプ大統領の保護主義が吹き荒れたお陰で、欧州側も「反対している場合ではない、大人の付き合いができる日本と協力せねば」、という気になったようです。一気に交渉合意、批准、発効と進みました。
EPA交渉に先立って行われた産業界による事前研究などで「先進国同士のEPAなのだから、できるだけ高度な内容にすべし」との提言が出ていました。それを受けて、最大限の品目が関税撤廃の対象になっています。
1980年代にはEUは日本製自動車やビデオ(VTR)などに対し厳しい輸入制限を課したこともあります。日本の大企業はEU域内に生産拠点を設置することで対応したものです。こういう芸当は、中小企業にはできません。だからEPAというのは、日本国内で生産するしかない中小企業が活用すべきなのです。日EUEPAを活用して多くの日本の中小企業にEUに輸出して欲しいし、帰国したらそういう志向を持つ中小企業のお手伝いに行きたいなぁと密かに夢見ています。
ただし、無関税の恩恵に浴したければ、輸出の際、その製品が日本産だということを証明できるようにしないといけません。日本産といっても、日本は資源国ではないので、原材料は輸入していることが多いので日本で完成したら即日本産とは言えません。その製品を作るのにかかった人件費や材料費などのコストを積み上げて、何パーセント以上が日本で加えられた付加価値なら日本産とか、あるいは加工することで原材料とは別種の品になるような製品だとそういう工程を行なった国を原産地にするとか、品目ごとに協定で定められています。
つまり、原材料の段階から情報をきちんとデータとして用意して、輸出先の当局から照会があったら英語で説明なければいけないという決まりがあります(原産地の自己認証制度と言います)
わ、ちょっと面倒くさいですね。でも、そういう労を厭わず、日本製品をどんどん輸出して欲しいです。
逆にワイン(15%)やチーズ(30%)の関税が撤廃されて日本で入手しやすくなったら嬉しいです。価格もそうですが、種類が増えたらいいなぁ。キプロスのHalloumiチーズなんてこちらに来るまで知らなかったもんね。焼いても形が崩れないちょっとしょっぱいミルクっぽい風味のチーズですが、サラダに入れたりして食べると美味しいの。日本に普及してくれると嬉しい。
硬い話で始まったのに、結局食べ物で終わってしまいました。あーあ
↓ハルーミチーズは焼いてハンバーグの代わりにしたりサラダに載せたりして食べます。これはWarboutonという製パン大手のウェブサイトから借用した写真