英国の庭から~海外生活ブログです

欧州調査歴25年以上のリサーチャー兼駐在員妻です。英国在住歴は通算10年。庭仕事のかたわら、言いたい放題つぶやきます。

伝統の人気デザート「カスタード」とは?

英国で長らく愛されてきた代表的なデザートは「カスタード」です。カスタードというのは、卵の黄身にミルク、クリーム、砂糖などを加え、低温で沸騰しないように温めてとろみをつけたものです。とろみをつけるために、コーンスターチや小麦粉、ゼラチンなどを使うこともあります。

 

日本人に一番なじみが深い食べ方は、シュークリームとクリームパンの中身です。英国には、中世の頃に、大陸から入ってきまして、カスタードの語源はタルトの外側の殻の部分をさし、イタリア語の” crostata”、ラテン語の”crustāre"を語源とするそうです。

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Egg custard tart from wikimedia

さて、このカスタードですが、大陸諸国ではタルト型の中に流し込んだり(上記の絵のような)、容器に入れて焼くクレームブリュレとかカスタードケーキなどとして発展したのですが、英国ではかなりゆるいものをカップに入れてそのまま食べたり、フルーツやクリームと一緒にして食べたりという風に発達したようです。

 

今でも西洋菓子の世界でクレーム・アングレーズ(英国風クリーム)と呼ばれている緩い卵を使ったソースがありますが、まさにこれのようです。

 

カスタードがデザートとして好まれていた証というのでしょうか、各地のアンティークフェアや骨とう品店に行くとジョージアン時代(18~19世紀前半)の「カスタードカップ」やビクトリア時代(19世紀)の「カスタードグラス」が沢山売っていて、びっくりします。

 

ジョージアンの時代は、まだ陶器だったようで次のような形です。ちょっと茶わん蒸し器を連想しますね。

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ジョージアン(18世紀頃)のカスタードカップ by Wikimedia

ビクトリア時代の代表的な入れ物はガラス製になり、下のような形です。容器の部分はデミタスカップほどの容量です。それに足と小さな取っ手がついています。もちろん、足がつかなかったり、取っ手がつかないこともあります。12客セットではなかなかみかけないものの、バラで1つ10ポンドもしないで売っているので、多少デザインが違っても5~6個集めることは簡単です。

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National Trust蔵 カスタードグラス 19世紀

http://www.nationaltrustcollections.org.uk/object/1146045

 

カスタードが人気デザートとして定着して、はや300年近くたち、中には卵アレルギーの人もかなりいるということで、卵を使わないで作った「なんちゃってカスタード」も1830年頃に登場し、今も販売されています。

 

有名なものとしては、Bird'sの粉末カスタードです。Bird'sのカスタードというのは、1837年にアルフレッド・バードという人が卵アレルギーだった奥さんのために考案したというものです。今でもWaitroseなどの大手スーパーで売っています。

 

このほか、やはり50年以上の歴史をもつレディーメードのなんちゃってカスタード、アンブロシアもあります。アンブロシアというのは、もともとギリシア神話に登場する神々の食べ物ですが、英国ではミルクを主原料とし、卵を使わない「なんちゃってカスタードソース」のようです。これがスーパーに大量に売っています。(今回、両方とも買って食べてみましたが、日本人の味覚には、むむむという感じで、単体では正直あまりおすすめできません。フルーツ缶詰とか、コンポートのようなものと一緒なら食べられますけど)

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これです。今も多くの人が買っています。

さて、こうしたカスタードソースにも、本物を手作りしたいという要望があるようで、色々なサイトに”Proper Custard Recipe"(適切なカスタードのレシピ)が掲載されています。

どれかおいしそうなのがあればご紹介しようと思って見比べてみたのですが、ずいぶん、人によってレシピが違います。

 

下の表でB1~B5は英国のレシピ、J1~J3は、参考までに、日本のクレーム・アングレーズのレシピです。

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出所をご紹介しましょう。それぞれにリンクをはりましたので、ご関心があれば、オリジナルのページをご覧ください。

B1 BBC Mary Berry メリー・ベリー氏は英国料理界の第一人者とされるカリスマ英国料理の先生です。
B2 BBC homemade custard

B3 Delia Online デリア・スミス氏も英国料理界のカリスマ料理家の一人です。
B4 Guardian紙Felicity Cloake氏の記事 カスタードに関する特集記事から特別レシピ。
B5 Great British chefs このページは今回初めて見つけて、かなり気になっています。

J1 辻調理師専門学校
J2 ホテルオークラ
J3 今日の料理(瀬田金行さん)

 

作り方はどれも共通していますので、日本語できちんと説明されているのを参考にされると良いと思います。ホテルオークラのレシピは懇切丁寧ですね。

 

上述の表をご覧になるとわかると思いますが英国のカスタードソースはかなりゆるく、さらに甘みが控えめのようです。B2のBBCのホームメードカスタードの感想欄に「甘すぎる」というコメントが続出しているのをみてもわかるように、英国のカスタードは牛乳を少し甘くした程度のソースです。

 

ところで、上記の分量で作ると大量にできてしまうだけではなく、黄身だけを使うので白身が大量に残ってしまいます。メレンゲ菓子を作るとか、白身ばかりをやたらと使うシフォンケーキなどを作られるとき、ついでに作ると一石二鳥かもしれません。

 

食べ方ですが、カップなどにいれて、温かい状態で、あるいは冷やして、それだけを食べたり、クランブルやケーキといった甘いお菓子やアイスクリーム、フルーツなどにかけて食べるというもののようです。↓こんな感じ。これは上記のGreat British Chefsのレシピで、グーズベリーのクランブルにかけて食べるというものです。

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https://www.greatbritishchefs.com/recipes/gooseberry-crumble-recipe

なんとなく、食べたくなってきたので、時間を見つけて作ってみようと思います。