Bogossさんのブログ、「２月２日にフランスでは、なぜクレープを食べるのか」を拝見していて、英国にもパンケーキデーがあることを思い出しました。
英国では、今年は3月5日（火曜日）です。勤め人の私にとって、火曜日がパンケーキデーがというのは都合があまりよくないです。平日の夜の夕食にパンケーキを食べる気にならず、デザートにするには重すぎるということもあり、大体忘れてしまうのです。
この日が毎年変化してしまうのは、キリスト教のイースター前の四旬節（lent)が始まる「灰の水曜日Ash Wednesday」の前日、「告解火曜日Shrove Tuesday」の食べ物だからです。イースターの定義が「春分の日の後の最初の満月の後の最初の日曜日」というものなので、1カ月前後のずれが毎年生じています。今年は4月と遅いのでパンケーキデーも例年の2月から今年は3月にずれこんでいるのです。
四旬節は灰の水曜日から始まり、イースター前日（聖土曜日）までの約40日間ですが、昔、英国人はこの時期に断食していたのだそうです。断食の前日、家に残っている卵や粉を食べつくすためにパンケーキを焼いたのでその習慣が残ったとされています。今でも、英国人の中にはこの時期にアルコールを断ったり、甘いもの断ちをしたり、肉をあまり食べないようにする人がかなりいるよううです。
四旬節については、Wikipediaに詳しく出ていますね。ご関心があれば、ご覧ください。
四旬節の前にヨーロッパの多くの国でカーニバル（謝肉祭）が行われます。カーニバルというのは「肉を絶つ」という意味らしいです。断食は、中東発の宗教共通の習慣で、大昔、この季節は実際に食料が不足して断食せざるを得なかったのかもしれませんね。
さてさて、それではどのようなものをパンケーキと呼んでいるかというと、日本人は何となくホットケーキのようなものをイメージしますが、そうではなくて、クレープのように薄く焼いたものです。
伝統的な食べ方は、パンケーキに砂糖とレモン汁をかけて食べるというものです。もちろん、お好みでnutella を塗ったり、メープルシロップをかけたり、フルーツを盛りつけたりという豪華版もあります。
ボトル入りのパンケーキミックス（Pancake shakerという名前）が1ポンド位で売っていて、水を300ccほど加えて、シェイクするだけで生地ができます。ボウルも汚れず楽ですが、さらに楽な方法として、既に焼いたものがスーパーで1年中売っています。たぶん多くの人はそれを買って温めて食べているはずです。
伝統的な英国のパンケーキのレシピを探したところ、BBCのウェブサイトのクッキングのページにカリスマ料理家デリア・スミス氏のかなり丁寧なレシピが出ていましたのでご紹介。
パンケーキのレシピ（デリア・スミス）
材料（直径18cmのフライパン12枚分）
小麦粉:110g
卵 大2個
ミルク 200cc
水 75cc
バター 50g
砂糖（上白糖）
レモン（串切り）
作り方
1. 小麦粉110gと塩ひとつまみを合わせてふるい、ボウルの中に山をつくり、粉の中心をへこませて卵を割り入れ、泡だて器やフォークで混ぜ合わせる。ミルク200ccと水75ccを混ぜたものを少しずづ加えていく。加え終わったら、ゴム製のスパチュラで、縁についた粉をこすり落とすようにして全体を混ぜ合わせ、薄いクリームのように滑らかになるまでよく混ぜる。
2. フライパンにバター50gを溶かし、溶けたら少しずつ1に混ぜ合わせる。
3.フライパンを熱し、中火に下げて大さじ2程度の量の生地を流し入れる。すぐにフライパンを回して生地を均等に広げる。約30秒位したら金色っぽく焼けるので、端からナイフなどで裏返し、数秒焼く。皿の上に滑らせるようにして出来上がり。
（パンケーキを積み重ねるときはパラフィン紙などをはさむとくっつかない。）
4.砂糖をふりかけ、レモンを絞っていただく。
https://www.bbc.com/food/recipes/basicpancakeswithsuga_66226
BBCのPancakesのページにはおいしそうなレシピが多々あり、オレンジのリキュール（コアトローやグランマルニエを使ったものを試したくなりました）。
