英国の庭から

欧州調査歴25年のリサーチャー兼駐在員妻です。英国在住歴は通算10年。庭仕事のかたわら、言いたい放題つぶやきます。

ドラマチックだった今週の英国議会(ブレグジット その11)

英国議会では今週月曜日から審議が再開され、EU離脱合意案については9日(水)、10日(木)の2日間、討議が行われました。それに先立って、8日(火)、9日と、かなりドラマチックな展開となったのでご説明&ご報告します。

 

今週のハイライトは「 ノーディールに反対する超党派連合」が登場したことでしょう。

保守党内の閣僚経験者を含むベテラン議員17名が、労働党、自由民主党、緑の党と手を結んだのです。その結果、メイ首相のやり方に反対する2つの動議が可決されました。

 

8日に下院では、政府が提出した「第三号財政案」が審議されました。しかし、ここに上述の超党派議員から修正動議が提出され、賛成303票、反対296票で可決されてしまったのです。この修正案により、ノーディールで財政支出が増えて、財源確保のために税率を引き上げたくても、 議会の承認がなければ引き上げられないという制限が政府に課せられることになりました。

 

翌9日には同じ超党派連合から「EU離脱合意案」採決が否決された場合の対応に関する動議が提出され、賛成 308票、反対297票で可決されました。 元々は否決後21日以内対応策Plan Bと呼ばれます)の提出が義務付けられていたのですが、3日以内に提出するように短縮されたのです。

 

2日続けての敗北に対し、首相官邸からは「大きな問題ではない」と表明がありました。とはいえ、内閣にとって大きなショックだったことは間違いありません。

 

内閣を驚かせたのは、従来、閣僚しか提出権限がないとされていた審議日程の修正動議を、超党派議員グループが提出し、それを保守党出身であるジョン・バーコー下院議長(この人は2009年から現職のEU残留派、現在は無所属)が認めたことです。これに対して閣僚やメイ首相寄りの保守党議員、離脱派、右寄りメディアなどが一斉に同議長を非難しています。

 

ガーディアン紙は、この議会の動きをメイ首相が続けてきたノーディールをちらつかせる 脅迫的政治手法に対する反発と分析していました。議会として「ノーディールは許さない」「ノーディールで脅すことも許さない」 ということをはっきりさせたとあります。当然という気がしますね。

 

↓ガーディアン紙の風刺漫画がおもしろい。運び出されるのがメイ首相、下院議長の盛装をしたバーコー議長が笑いながら後ろを歩いています。

www.theguardian.com

 

かくして来週1月15日(火)19時からの「意義ある採決」に向けて、メイ首相の旗色はいよいよ悪くなりました

 

そうした中、「救いの天使」のような形で現れた安倍首相の応援ぶりも大きく報じられています。たぶん日本では訪英は大成功みたいな報道ぶりなのでしょう・・

 

しかし、この状況の中で当然、不愉快に思う人も多々いるわけで、「余計なお世話だ。クジラ食っているくせに」とめちゃくちゃな論調の批判が続出しています。だからぁ・・部外者がのこのこやってきて、偉そうに発言すれば、ヤブヘビだっちゅうの・・

 

政府は引き続き「ノーディールに備えろ」という内容の警告メールを配信し続けており、1月8日には、国民がEU離脱に準備できるよ うポータルサイトをオープンしました。

euexit.campaign.gov.uk

 

政府はウェブサイト上に100本以上のガイダンスを公開していま す。その大半が大手法律・ 会計事務所やコンサルタント会社に委託して作成させたもの。1本あたり何百万円という費用を払ったはずです。 結局、このブレグジット騒ぎで、得をしたのはコンサルばかり。

 

政府が恐怖を煽って、コンサルが大儲けし、 投票権を持たなかった若者が就職できたはずだった企業がどんどん逃げていくというやりきれない構図 となっています。 

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