英国の庭から~海外生活ブログです

オランダで還暦を迎えた駐妻。英国での5年弱、2度目の駐在生活を終え、オランダ生活も3年を過ぎてしまいました。けたところでロックダウン入り。できる範囲で何をしようかと模索中。

豪華な貴族の館チャッツワースに行く

ピークディストリクト3日目の昼前にイングランド中部、いや、おそらく英国貴族の館としては最も豪勢な館チャッツワースに行きました。今回はその報告など。

宮殿の様な豪華な館

チャッツワース館は、第12代デヴォンシャー公爵が住んでいる現役の貴族の館です。

www.chatsworth.org

デヴォンシャー公爵家は17-8世紀を通じて、英国一の資産を誇っていたようです。本宅であるこの屋敷もおそらく英国一豪華で、まるで宮殿のようです。だからでしょう。映画のロケにも何度も使われています。また、夏には英国王立園芸協会のフラワーショウが開催されたり、BBCのガーデナーズワールドで春の植え込みが紹介されたりとメディアに露出する機会が多い館です。

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この館は前日に訪れたライム・パーク同様、2005年に公開された映画「プライドと偏見」のMr.ダーシーのペンバリー館となっています。実際に作者のジェーン・オースチンはこの公爵邸をペンバリーのモデルとしていたという説もあります。

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中庭に面する面の窓枠は金でできているそうです。

さて、ライム・パークとチャッツワース、どちらがよりMr.ダーシーのペンバリー館らしいのでしょう?そうですね。私はライム・パークかな。チャッツワース館はこれからご案内しますが、館というより宮殿で、爵位のない地主のMr.ダーシーには絢爛すぎる感じがしました。

この館は他にもいくつかの映画の舞台になっていますが、やはり一番あっているのは、「プライドと偏見」で主役を演じたキーラ・ナイトレイが演じたもう一つの映画「ある公爵夫人の生涯」でしょう。なぜならそのモデルとなったジョージアナ・キャベンディッシュが実際に住んでいたからです。その話はまた後程。

クリスマスの飾りつけの最中だった邸内

入口を通って最初に通されるのが玄関ホール(左の階段があるところ)です。ちょうどクリスマスの飾りつけに忙しい時期で、いくつかのゲストルームは公開されていませんでした。

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壮麗な階段を上って室内を見学します。下の右側は万が一、国王が訪問された時のために用意された書斎です。、

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下は国王の寝室の壁のパネルと、国王が来たときのために謁見用に用意された玉座です。しかし、この邸宅に国王の来訪はなかったようです。

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玉座。壁の飾りも豪華です。

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国王のベッド

あちこちに回廊があり、芸術作品や肖像画、陶磁器や原石コレクションなどが飾られています。北側の回廊はモダンです。現代作家の作品が飾られています。

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 このほか、いろいろな部屋があったのですが、実際に公爵の一家が使っていた部屋はほとんど公開されていません。クリスマスの飾りつけのためだったのか、それともいつもそうなのか。昔からパブリックに公開される部屋が決まっていて、そこだけ今も公開しているような感じでした。

豪華で素敵な図書室

この屋敷の中で私が一番気に入ったのはこの図書室。図書室だけで3部屋あり、何万冊にも及ぶ古文書は1年に1回、すべてのページを開いて傷んでないかチェックするのだそうです。もはや、誰かが楽しみで読むものではなくなって貴重な骨とう品置き場なんですね。

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チャッツワース館のついて書かれた現代本の棚

さて、冒頭にも書いた映画版「プライドと偏見」ですが、この評価はまちまちです。どうしてもコリン・ファースとマシュー・マクファデンの比較になってしまうためかもしれません。また片方は4回に分けて放映された5時間半のドラマだし、こちらは2時間の映画だし全く別物。

BBC版の方が原作に近い感じですが、マシュー・マクファデンの演じた20代の青年っぽいダーシーもあっても良いのではないかと思います。

こちらはペンバリー館にリジ―が訪問するシーン。チャッツワース館にはMr.ダーシーの彫像はありませんでしたが、第何代だかの公爵が集めたという彫刻がこの映像のように置かれていて博物館のようでした。

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公爵夫人ジョージアナの生涯

さて、今回の訪問で一番興味深かったのは、キーラ・ナイトレイが演じた公爵夫人ジョージアナ・キャヴェンディッシュです。第5代公爵の妻で、ダイアナ妃の祖先初代スペンサー伯爵の令嬢です。映画にも描かれていますが、同じ階級同士で、つり合いが取れた相手ということで、最初は好意を持って結婚したものの、結婚当初から夫は妻を裏切り続けたようです。

ジョージアナは人間的な魅力にあふれた人だったようです。社交界の花形であり、マリー・アントワネットとも親交があったそうです。両親からも溺愛され、おそらく子供たちからも愛されていたようです。しかし、跡取り息子を授かるまでに結婚して16年もかかり、その間に夫婦の間はぎくしゃくし、いろいろな軋轢があったようです。

映画をみても、実際の話を読んでも夫の公爵はひどい男です。結婚早々、愛人に産ませた子供を妻に押し付け、妻が長男を生まないことを責めつつ、なんと自分はジョージアナの親友エリザベスを愛人にして、二人の子供をもうけています。

しかし、夫と親友に裏切られているのに、ジョージアナはエリザベスと友人関係を続け、関係は死ぬまで続いたというのだから太っ腹。もっとも、当時の貴族の女性はそうでもなければ、社会での居場所がなかったということなのかもしれません。余計に哀れです。

ジョージアナの臨終の場には、彼女の母親、子供たちに加え、夫と愛人も同席したというのだから驚き。ちなみに、彼女の死後、夫はエリザベスと再婚しています。

下は跡取り息子だった次代の公爵が一番気に入っていたという絵。女神ダイアナに扮したものでギャラリーに飾られていました。

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女神ダイアナに扮したジョージアナ公爵夫人

 

しみじみ、事実は小説より奇なり。ちなみに、彼女の息子は父親の所業に嫌気がさしたのか、生涯独身を貫いています。

 

歴代の公爵が馬の飼育に熱心

歴代のデヴォンシャー公爵は馬の飼育に熱心なことで知られています。下の写真は屋敷ではなく、厩舎だというから豪華です。現公爵も王立アスコット競馬の経営陣の一人だということです。

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クリスマスの時期にぜひ再訪したい

館の中は、何日もかけてクリスマスの飾りつけを行うようで、下の2枚の写真は売店で売っていたカードを撮影したものですが、毎年のクリスマスの様子だそうです。

今回、飾りつけの途中だったのですが、いつかクリスマスの時期に再訪したいと思いました。

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 この日は朝から大雨でしたが、幸いチャッツワースに到着すると雨があがりました。午前中、雨の中ピーク・ディストリクト国立公園をドライブしましたので、次回はその報告など。