英国の庭から~海外生活ブログです

欧州調査歴25年以上のリサーチャー兼駐在員妻です。英国在住歴は通算10年。庭仕事のかたわら、言いたい放題つぶやきます。

BBCガーデナーズワールド(2019年第14回)BBC Gardeners' World Live報告

 

BBCの人気番組Gardeners’ Worldの第14回(6月14日(金)放送)は、6月13日から16日にかけてバーミンガムの国際会議場(NEC)で開催された、フラワーショー”BBC ガーデナーズワルド・ライブ”の特別番組でした。イングリッシュガーデンの魅力が満載ですので、お楽しみください。

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バーミンガムは英国中部にある英国第2の都市ですが、ロンドンからだと名古屋位のイメージの場所です。日帰りも不可能ではないのですが、ちょっと遠いかな、とあきらめてしまったのですが、大変後悔しているところです。

この番組をみると実に素敵で、モデルガーデンの庭は、チェルシーフラワーショーの金賞の庭より好きかもしれません。来年、行けないかと、早くも考えているところです。

フラワーショーの構成は、これまでお伝えした他のフラワーショー同様、1.モデルガーデン、2.ナーサリーの出展する中央テント、3.売店のようです。

 

ショーガーデン(モデルガーデン)コンテストで上位入賞した庭

BBCのサイトにモデルガーデンを紹介するページがありますのでご覧ください。

www.bbcgardenersworldlive.com

庭に菜園とコテージ風の花壇のある庭

番組は冒頭から、プラチナ賞(最優秀賞)を獲得した「時計職人の庭」から始まりました。庭の設定は1920年代、時計職人をしているこの家の主が、庭で自分が食べる野菜を育てつつ、お楽しみのためにコテージガーデン風の花壇も育てているという設定です。

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最優秀賞をとった「時計職人の庭」

この庭、本当に細部まで凝っていると番組キャスターのモンティ・ドンとフランセス・トップヒルが感動していました。(下の写真をご参照)
 

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室内には分解された時計が、雨どいの先にはウォータークレソンが生えています。

 

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野菜も1つ1つが完璧に育っています。

市民農園のような庭

上の庭と似た雰囲気で、やはり金賞を受賞したのが、「ダリアの庭」です。こちらはおじいさんのアロットメントをイメージしたとデザイナーのジョンさんが説明していました。アロットメントとは市民農園のことで、自治体などから一区画を借りて、野菜や花を育てるものです。大変人気があり、どこでも長い順番待ちのようです。

この庭は野菜の間にダリアがあちこちに顔をのぞかせているのが新鮮です。また、右下のダリアはこの庭をレポートした番組キャスター、キャロル・クレインの名前を冠した新種です。

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右下のダリアは新種で、番組キャスターの名前をとったもの。

小さいフロントガーデン

都市部に多い、狭いフロントガーデン(英国の家は、フラット以外は前庭と裏庭が付くことが多いです)のデザインです。日本の家はこれぐらいの前庭の家が多いので、参考になりそうです。もっとたくさん見せてくれたらよかったのですが・・

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斬新でモダンなビジネス向きの庭

一転してこちらは、斬新で、モダンな庭です。こちらもプラチナ賞を受賞しています。

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焚き火用の円盤に水をためて周囲の植栽を映り込ませています。

他にもいくつかモダンな庭がありました。

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銀賞を受賞したRevelation(啓示)と言う庭

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金賞を受賞した「庭への入り口」と言う庭です。

最近、どのフラワーショーに行っても、こういう、つるつるの石を使い水を流した雑草が生えにくそうな庭が賞を取っています。上の金賞の庭は、正直、どこがいいのかよくわかりません。これがトレンドなのだろうと思いますが、日本人の私としては、最近日本で流行している雑草が生えにくい「墓地」のイメージ。私の実家の父が眠るお墓はまさにこんな雰囲気です。

様々なテーマの庭

他に大小様々な個性的な庭がありました。こちらは学校の出展でやはりプラチナ賞です。様々な色合いの葉物を組み合わせています。

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脇に根の成長を示す巨大な試験管が置かれています。(下の写真左)

 

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左側は根の成長を示す試験管、右は違う団体の出展で自由に動く苔玉。

下のは金賞を受賞した庭で、ヒマラヤ原産の花、しかも紫系の花のグラデーションをつけて植えられた庭です。

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英国で栽培可能なヒマラヤの植物ばかりを集めた庭

下は、バーミンガムの運河を再現した庭。

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バーミンガムの運河を再現した庭

バーミンガムには2本の運河があり、運河の周辺には人々が散策できるような散歩道もボランティアの手によって整備されてきました。そうした活動をアピールする目的もあって、運河に架かる橋と運河の周りの土手を再現したのが上の庭です。運河や建物の建設にはボランティアが協力しました。

庭の悩み相談会では、殺風景な仕切りの壁と池を飾る方法を伝授

番組での呼びかけに応じて、視聴者からの悩み相談に答えるという場がありました。

隣家との境の塀が殺風景

一人目の女性は、隣家との境の部分が殺風景だという悩みです。植物を使ってむき出しの仕切り板を隠しましょうという提案に対して、質問者からどのような植物を植えたらよいだろうかという問いがあり、それに対して、ブドウを勧めていました(下の写真の真ん中)。また下から背が高くなるような植物(フォックスグローブなど)を勧めていました。

↓一番上の写真が、お困りの庭の様子です。

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殺風景すぎる池周りの植栽

2つ目の相談は、殺風景すぎる池周りの植栽です。次の写真の最上段がお困りの池です。池の周りに植えて自然さが出せる植物として次の3種類を勧めていました。

Miscanthus sinensis 'Morning Light' (v)

Rodgersia pinnata

Ligularia Britt Marie Crawford

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大テントでのナーサリーの展示から

大テントでは、各地からのナーサリーが出展していました。チェルシーフラワーショーと異なり、その場で買うことができるので、多くの人がカート持参で現れ、大量に苗を買っていました。

下のは、今年の新種で、大変変わった風合いのジギタリス(フォックスグローブ)です。

この花は1年草ではなく、花が終わったところを切ってやると、どんどん脇からシュートが出て長い期間楽しめるそうです。

Digitalis x valinii 'Fire Bird'

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下の6種類の花はいずれも番組プレゼンターのキャロル・クレインが選んだもので、いずれも育てやすく、色合いの取り合わせがおすすめとのことです。

 

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次の3種類もお勧めの組み合わせのようです。

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モンティからは、今人気の多肉植物の1つ、Aeonium arboreum 'Velour’について、下の左と右を比べ、冬の間、低温だと左のように深く沈んだ色合いになり、冬から春にかけて温度をあげてやると、明るい色合いになると説明がありました。

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出展者のナーサリーを訪問

番組では出展業者の中から、2つのナーサリーを訪問しました。

サリーのホスタ専門のナーサリーSienna Hosta

www.siennahosta.co.uk

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番組は、サリーのナップヒル(knaphill)にあるシエナ・ホスタ・ナーサリーを訪問して、経営者のオリー・ウォーカー氏とクリス・ポッツ氏に話を聞きました。ウォーカー氏は27年間、この仕事に従事しており、1980年代から集めてきたホスタの種類は800種に上っているそうです。その中で400種をウェブサイトに掲載しています。

ホスタは英国ではナメクジとカタツムリに食害されることで有名ですが、さすがに最も希少な種類は、全体をネットでおおわれたドームの中で育てているそうです。

上の右の写真Sagaeは全体でも最も大きくなる品種の1つだそうです。下の写真にあげられているのはお勧めの品種。Mini Skirtはミニ・ホスタの中でも人気の品種で、Praying Handsはその形から1つは持っていたいとされているもの、Designer Genesは黄色い葉と赤い茎で大変人気だそうです。また、一番下のHandy’s Upも人気だそうです。

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元々、日本、朝鮮半島、中国などのアジアを原産とするホスタですが、栽培にあたって注意している点は以下の通りです。

用土:水はけがよく軽いものを使う(英国には赤玉土がありませんので、ココナツやしの表皮をベースにしたコンポストミックスを使っています)。特に、ミニ・ホスタは水はけが悪い状態を嫌がり、水やりも多すぎてはダメだそうです。

肥料のやり方:葉だけを鑑賞したければ窒素分の多い肥料、花も見たければカリ分が入ったものとなるが、普通のトマト用肥料で十分(トマト用肥料は英国では最も一般的な普通の肥料です)。ただし、やりすぎはダメで、様子をみて葉の成長が悪い、色合いが悪いなどと感じるようになったらやること。

カタツムリとナメクジの管理:ニンニク煮出し液の噴霧が有効。週1回のペースで噴霧しており、雨が続くと週2~3回に増やす。ニンニク煮出し液の作り方は、ニンニク1かけにつき1リットルの水で煮て煮出した濃縮液大さじ1杯分を2.5リットルの水で薄めて噴霧。

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コーンウォールのダイアンサス専門ナーサリーCalamazag Plant Nursery 

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こちらコーンウォールのLooeというところにあるダイアンサス(ナデシコ)専門のラマザク・プラント・ナーサリー(Calamazag Plant Nursery )です。話をしてくれたのは一家の3代目のスティーブとベネディクトのご夫婦。奥さんの祖父母が戦後、この地にやってきてダイアンサス専門のナーサリーを開いたそうです。

ダイアンサスには300種類ほどあるが、このナーサリーはショート・アルパイン種(姫ナデシコ)と言う種類に特化しているそうです。

ちなみに、英国ではナデシコやカーネーションのことをピンク”Pink"と呼びます。赤くても白くてもピンクってちょっと変ですね。

さて、このナーサリーが特に自信をもってお勧めする花としては、"Arctic Star"(下の右上)と"Fusilier" (下の右下)が花付きがよく育てやすいとしています。育て方のコツは、日当たりが良い場所で、水はけの良い用土で育てることに尽きるとのことです。

同ナーサリーで作出した Dianthus gratianopolianus ”Freddie“”(上の右下)は香りが非常によく、ご夫妻の長男の名をつけるほどの思い入れの花だそうです。

このほか珍しい種類としては、種から育てる種類のDianthus carthusianorum "German Pink"(上の左下)や、ビクトリア女王のために作出した"Mrs Sinkins"(下の左上)を挙げていました。左下の"Silver Star"は今回のショーでは一番人気だったそうです。

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ダイアンサスの挿し木は、簡単なようです。

まず、元気の良いシュートを根元に近いところから切り取り、土に入る部分の葉を落として、挿し木用土にペン先などで穴をあけ、差し込みます。たっぷりの水をあたえ、発根まで水を切らさないようにすること。

8週間もすれば根が回って植え替えられるようになるので、植え替えます。直射日光に当てないように紗などで覆いがあるところで育てると良いようです。

さらに8週間ほどしたら、完成。その間、より多くのわき目を出させるため、何度か摘心してやると良いそうです。

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というわけで、今回も長くなってしまいました。これでも3分の1ぐらい、省いてしまいましたので、ご関心がある方は、番組HPをご覧ください。