英国の庭から~海外生活ブログです

欧州調査歴25年以上のリサーチャー兼駐在員妻です。英国在住歴は通算10年。庭仕事のかたわら、言いたい放題つぶやきます。

チェルシーフラワーショー2019報告(モデルガーデン2)北海道のデザイナー二人が初出展で金メダル獲得

世界最高峰の園芸フェアとして知られるチェルシーフラワーショーが5月21日~25日の期間、ロンドンで開催されています。5月22日(水)に見に行ってきましたので、何回かに分けてご報告します。

今日は、北海道出身の二人の若手デザイナーが初出展で金賞を獲得という快挙を成し遂げられましたので、ご紹介します。

二人の若手デザイナーによる「漢方の庭」

www.rhs.org.uk

 この庭をデザインされたのは、北海道在住の二人のデザイナー加藤一統さん、佐藤未季さんです。初出展でいきなり金メダルという偉業をなしとげられたのですが、なかなかできるものではありません。過去に受賞された日本企業さんから苦労話を聞いたことがあります。ぜひその秘密を知りたいと思って、閉館時間である日没間際、この庭に立ち寄ったところ、デザイナーの佐藤さんにお話を聞くことができました。

f:id:ouiouigarden:20190525182322j:plain


 まず、受賞作品の「漢方の庭」ですが、2つのポイントがあります。1つは薬効性のある植物によって「健康と幸福の実現をめざす」としていることです。もう一つは、デザイナーお二人の地盤である北海道の長い冬と雪をかぶった山々、春になって流れてくる冷たい清流と植物のいぶきなどが庭に投影されていることです。

 樫材で作ったパーゴラに覆われたパティオは、リンカーンシャーのスタンフォード(Stamford)産の石で作られており、パーゴラの寸法は、魯班尺(ろばんじゃく、風水尺とも言われる)において健康に良いとされる寸法となるよう設計され、中の空間が居心地よくなっています。

f:id:ouiouigarden:20190525182325j:plain

 庭には細い清流のような流れが作られていて、それに沿って北海道で育つ薬効がある植物(しそ、ドクダミ、アカザなど)がふんだんに植え込まれています。「健康と幸せを実現する庭」とのコンセプトは高い評価を得て金メダルに結び付いたのではないかと思います。

f:id:ouiouigarden:20190526011801j:plain

 

 佐藤さんから「中に入って座ってみませんか」と誘われて、パティオの椅子に腰かけさせていただいたところ、あら不思議。この中の部分に入ると、水の流れるさわやかな音にさえぎられて外の騒音が聞こえにくくなり、なんとも居心地の良い”気”に満ちた静寂な空間となったのです。

 

多くの人の支えにより出展の困難を克服


 佐藤さんによると、ショー事務局から最終的に出展を認めるとの通知が来たのは昨年11月だったそうです。それから資材を調達し、会期の直前2週間で庭を設営したとのこと。これは大変なことです。日本国内で同じことをするとしても容易ではありません。
 佐藤さんは、多くの人の力を借りたと話されていました。まず、数千万に上る出展費用ですが、クラウドファンディングで調達されたそうです。300社以上の企業、個人を含めると400以上の出資者がスポンサーとなったそうです。

 このほか会場で配られたチラシ、これも北海道のチーム・ヤムヤムさんの協力によるもの(下のYoutubeをご覧ください)。

 佐藤さんは、英国で園芸学やガーデンデザイン、造園学などを学ばれ、その時期に英国有数のガーデンセンターなどがチェルシーフラワーショーに出展する作業にボランティアとして参加した経験もあるそうです。

 当時、まだ、金メダルを受賞したばかりで、BBCガーデナーズワールドのプレゼンターとして人気を博す前のアダム・フロスト氏に「あなたの庭が一番気に入りました」といって頼み込み、ボランティアをしたことあるそうです。その経験で得た人脈が、今回、非常に役に立ったそうです。

 アダムから当時、自分の片腕の日本人がいるからと紹介されたのが、今回の主任コントラクターで英国在住の白井達也氏です。今回は、そうした英国時代の人脈を通じて、庭園造営に不可欠なボランティアや人材を集めたということでした。

 出展には色々な苦労がありました。特に、庭園に植える植物の調達が大変でした。何度も出展慣れしている大手の業者は、前年6月頃には当落に関係なく良い苗を確保してしまっているそうです。秋になって日本からの初出展ということで、調達作業を開始したときにはすべて売約済と言うことで断られてしまったそうです。

 そうした中、手を差し伸べてくれたのが、英国のハーブの大家で、チェルシーフラワーショーでも金メダルの常連のジェッカ・マクビカーさん。以下はそのハーブ園です。「種からで、間に合う物ならと引き受けるわ」と植栽の半分を用意してくれたそうです。

www.jekkas.com

 それでも、佐藤さんは、実際の設営作業が始まってから、他のブースに入っている業者さんにクッキーをもって「余っていないかしら?」と直談判に行って譲ってもらうといったギリギリの作業をして間に合わせたそうです。
 はぁ・・本当に若いのに立派です。私はすっかりお人柄にほれこんでしまいました。「やっぱりこういうガッツとしなやかさがあるから金メダルなんだなぁ・・」と、ファンになってしまいました。これから、佐藤さんのデザインする庭のおっかけになっちゃいそうです。また、残念ながら他のお客様の応対中で会釈しかできなかったのですが、佐藤さんとコンビを組まれたくらいなので加藤さんも魅力ある方だろうと思います。

お二人の苦労話や周辺の方の話がYoutubeにも出ています。とてもおもしろかったです。

「漢方の庭」デザイナー佐藤未季 | Chelsea Flower Show2019 "Kampo no Niwa" - YouTube

チェルシーフラワーショー2019「漢方の庭」工事1日目 | Chelsea Flower Show2019 "K - YouTube

「漢方の庭」インタビュー:柏倉一統 | Chelsea Flower Show2019 "Kampo no Niwa" Designer :Kazuto Kashiwakura - YouTube

「漢方の庭」コーディネーター白井達也さん | Chelsea Flower Show2019 "Kampo no Niwa" - YouTube

「漢方の庭」インタビュー:チーム・ヤムヤムさん | Chelsea Flower Show2019 "Kampo no Niwa" TEAM YUM YUM - YouTube

 

そしてこれが金賞を報じるテレビ番組です。

www.youtube.com

というわけで、今回は「漢方の庭」だけに集中してしまいました。

柏倉さん、佐藤さん、おめでとうございます。