英国の庭から~海外生活ブログです

オランダで還暦を迎えた駐妻。英国での5年弱、2度目の駐在生活を終え、オランダ生活も3年を過ぎてしまいました。けたところでロックダウン入り。できる範囲で何をしようかと模索中。

庭を「部屋」のように仕切ったヒドコートマナーガーデン

 20世紀を代表する名園

コッツウォルズの北端チッピング・カムデンの近郊にヒドコートマナーガーデン(Hidcote Manor Garden)はあります。この庭、20世紀を代表する名園と呼ばれ、英国の庭ランキングでは常に上位にあります。

先日訪問したチャールズ皇太子のハイグローブ邸からは80キロほど北上したところです。途中、コッツウォルズの町を眺めながらドライブしたので、2時間近くかかり、到着したときには15時40分になっていました。

実はヒドコートマナーガーデンは隣にキフツゲート庭園という、やはり有名で素敵な庭があるのですが、ヒドコート見学だけで1時間半ほどかかり、キフツゲート訪問は断念しました。

この庭は植物収集家の米国人ローレンス・ジョーンストンがデザインした庭です。ジョーンストン家は米国ボルチモアの富裕な株式仲買業者の家系らしいのですが、お金を持っていたのは2度の結婚で莫大な遺産を相続した母親です。その母親が1907年に家を購入するのと同時に(あるいはその前に)ローレンスは庭づくりを始めたようです。ローレンスは英国の大学を卒業して、英国市民権をとり、ボーア戦争に従軍した軍人ですが、戦争のあとは、植物を収集する旅に出たり、10人以上も庭師を雇って庭作りに励んだりと優雅な生活だったようです。

さて、ヒドコートマナーガーデンの特徴は、庭を生垣で部屋のように区切って、各部屋を珍しい植物、あるいはエキゾチックな植物で装飾するというものです。部屋のように作る方法自体は珍しくはなかったのですが、選択した植物や配置のセンスが1900年代初頭としては斬新で、当時の一大流行となったようです。また、この庭には当時流行していたアーツ&クラフト運動の影響が色濃く出ているそうで、また、同運動に共感した女性園芸家ガートルード・ジーキルが提唱したカラースキーム理論も取り入れられているそうです。

 

当時初めてだった、赤でまとめたボーダー

ヒドコートマナーで最も有名なのが、赤い花でまとめたボーダー花壇。今の時期は赤いチューリップが主役ですが、季節によって、カンナやサルビアなどの深紅が使われるようです。1910年頃にはこのボーダーは完成していたらしく、当時、単色でボーダーをまとめた例がなく、この庭が紹介された時、大変センセーショナルだったようです。

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ローレンスは10以上の生垣で仕切った「部屋」を作り、クジャクのトピアリーのある白い花の庭とか、青い花の部屋、芍薬の部屋などを作ったそうで、今でも当時のままの部屋もあるそうです。

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様々な植物が咲き乱れていて、見たことがないほど深い青のわすれな草もありました。

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春から晩秋までの公開

90年代に初めてこの庭を訪れたのは6月でしたが、当時は花の盛りの6~7月は良いけれど、それ以外の時期はちょっと寂しいかな‥と思っていたのですが、春から秋まで月ごとに見どころがあるよう工夫されているようです。ただし。11月~3月までは土日以外は閉園の日がほとんどです。

ローレンスは晩年、南仏に購入した家Jardin Serre de la Madoneの庭づくりに精を出し、ヒドコートマナーは生前のうちにナショナル・トラストに寄贈してしまったようです。

ナショナル・トラストにとっては庭を中心とした初めての物件でしたが、経営は赤字続きで黒字を出すのにかなり時間がかかったそうです。その間にもグレアム・トーマスなど、著名な園芸家がヒドコートマナーの庭づくりに助言したそうです。

この庭で作出された植物には有名なラベンダー「ヒドコート」やペンステモン「ヒドコートピンク」、ヒペリカム「ヒドコートゴールド」などがあります。

施設内にはティールームが2か所と土産物店があり、お茶や食事をした後、お土産を買うこともできます。そういえば、前回来たときは、ここでラベンダー「ヒドコート」を買って帰りました。

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リンゴの花とライラック

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クレマチス・モンタナ

ヒドコート・マナーへの行き方はウェブサイトをご参照ください。

https://www.nationaltrust.org.uk/hidcote