<渋滞緩和から大気汚染防止へ>
ロンドンの中心部、交通ゾーン1と呼ばれる地区には流入する車が多く、2003年から混雑緩和を目的としてコンジェスチョン・チャージ(Congestion Charge)と呼ばれる通行税が日中、同地域を通行する車に課せられています。
コンジェスチョン・チャージは1日当たり11.50ポンド(前払いの場合。後払いは14ポンド)。月曜から金曜の7時から18時までの通行に課せられます。住民や障がい者など届け出をして認められた車両は減免対象です。
コンジェスチョン・チャージは混雑緩和が主目的でした。しかし、交通量や人口の増加に伴い、大気汚染が年々悪化、住民の健康被害が深刻になってきました。そこで2013年に当時のロンドン市長だったボリス・ジョンソン前外相が打ち出したのが、2020年10月に世界初の超低排出ゾーン(Ultra Law Emission Zone, ULEZ)の導入です。
後任のロンドン市長である現サディク・カーン市長はこの計画を前倒しし、今日2019年4月8日からULEZを導入することにしました。
今日からコンジェスチョン・チャージは、ULEZと名前を変え、進入して良いのは、
EUの自動車の排ガス排出基準で、
一般車、バン:
ガソリン車:EURO4(主に2015年以降に登録)以上
ディーゼル車:EURO6以上(2015年9月以降に登録)以上
大型車:EUROⅥ以上
バイク:EURO3以上
となります。基準を満たせない古い型式の車は、コンジェスチョン・チャージに加えてULEZ通行税も徴収されます。
通行税の額は大型車以外は12.50ポンド、大型車は100ポンドです。こちらもコンジェスチョン・チャージ同様の適用除外があるほか、登録されたクラシックカーなどは免除されるようです。また、コンジェスチョン・チャージについては、電気自動車など一部の環境に優しい車の免除も導入されたようです。
<2021年には南北環状道路まで範囲を拡大>
ロンドン市は2021年10月21日にULEZの範囲をNorth Circular、 South Circularと呼ばれる環状道路まで(以下の地図参照)拡大する予定です。
コンジェスチョン・チャージと異なり、こちらをご覧になる日本人の方が乗る車がULEZの通行量の対象となることはあまり多くないかもしれません。しかし、今後、ロンドンにお住まいになる方で、中古車を購入される場合は、ULEZを意識して購入されると良いと思います。
また、コンジェスチョン・チャージは車種を問いませんので、払い忘れには要注意です。英国の有料道路は、ほとんどカメラで管理されていて、知らず知らずに通行し、当日夜までに払い忘れてしまうことがよくあるのです。コンジェスチョン・チャージの場合、払い忘れの罰金は、160ポンド(通知が来てすぐに支払えば半額)と高いのでご注意ください。
先日も書いた通り、英国の路上には無数の監視カメラがあり、特にテロ対策もあってロンドン市内の監視カメラの設置密度は高いので逃れることはできません。
このほか、UBERは4月8日からULEZに入る場合、1ポンド追加料金を請求すると発表しています。