今日はエイプリルフールです。フールの集まる英国議会(下院)では、今夜、再びindicative vote(示唆的投票)を行い、先ほど10時過ぎに結果が発表されました。
今回は4つの議案がバーコウ議長に選ばれましたが、またしても全部否決されました。
採決されたのは次の4案です。
1.EUとの関税同盟に参加(クラーク保守党議員提出)
賛成273票 反対276票で否決
2.共通市場2.0(Common Market 2.0)を結成(ボールズ保守党院内総務提出)
賛成261票 反対282票で否決
EFTA(欧州自由貿易連合)とEEA(欧州経済領域)に参加し、アイルランドのバックストップ問題が解決するまでは一時的に関税同盟に参加するというもの。
3.第2国民投票の実施(カイル&ウィルソン労働党員提出)
賛成280票 反対292票で否決
4.議会がノー・ディールか50条撤回かを採決する(チェリー スコットランド国民党議員提出)
賛成191票 反対292票で否決
離脱期限の2日前に何等かの案が合意されなかった場合、政府はEUに延長を求める。EUが延長に同意しない場合、離脱予定日前日に、議会でノーディールか第50条撤回かを議決する。
というわけで、先週3月28日と同様、議会による打開策は出ませんでした。
今後ですが、4月12日までに打開策がでないとノー・ディールでの離脱となります。その前にテレーザ・メイ首相は4回目の「意義ある投票」を行いたいとしています。下の漫画にもあるとおり、すでに3回否決されているのに、まだ出せばなんとかなると思っているのでしょう。首相の執念が勝つか、それとも総選挙になるのか、わからない情勢です。
↑ライオネル・リッチーのスリー・タイムズ・ア・レディのメロディーで歌ってくださいということだそうです。左からバーコウ議長、フォスターDUP党首DUP、コービン労働党首、ピアノを弾き語りしているのがメイ首相。(この歌好きなんですけど)
Lionel Richie - Three times a lady - YouTube
メイ内閣は議会の前に閣内の意見が大きく割れて、紛糾したそうで、さっそく次のような漫画も出ています。
また、ニック・ボールズ保守党院内幹事(whip)が、自身が提出した「穏健な離脱」を勧める共通市場2.0案が否決された直後に辞任、保守党を脱党しました。「自分は失敗した。保守党議員が妥協しなかったからだ」と述べています。院内幹事というのは、議会で票の取りまとめのための説得作業をする係だそうです。共通市場2.0案は、ブレグジットによる悪影響を極力小さく抑える妥協案ですが、否決の主因は離脱強硬はの保守党議員達が賛成しなかったことによるものです。
そういうわけで、混迷を極めているメイ政権と議会のせいで英国はまた一歩、ノー・ディールへの道を進んだことになります。