昨日は、ユーロスターの話に終始してしまいましたが、今回のパリ訪問の目的だった世界最大と言われる国際手芸見本市「レギュイユ・オン・フェット(l’Aiguille en Fete)」についてご報告しましょう。
この見本市は、年1回開催され、今年は3月7日~10日の4日間、開催されました。毎年、日本の旅行会社が視察ツアーを募集するほどで、その宣伝文句をみると、「フランス国内はもとより、ヨーロッパ各地や日本からも多くの出店があり、広さ600㎡の広大な敷地に300店を超えるブースには、縫製、編み物、刺繍、仕立て、パッチワーク、雑貨、レース、織り、かぎ針編み、タペストリーなど、さらに、手芸に関する本やレシピ、糸や布、小物など、針に関連した手芸用品や関連グッズが、なんでも揃っているのです!」とあります。
ですので、さぞ大きいものだと思ったのですが、行く直前になって、今年の出展者リストを数えてみたら、全部で160の企業・団体が出展、外国企業は10社ぐらいでした。もしかしたら、昨年までは300社ぐらいが出店していたのに、今年はジレジョーヌ(黄色いベスト運動)などのせいで半減したのでしょうか?それとも昔はそうだったけど、先細り傾向?
いずれにせよ、ユーロスターのキャンセルで17時20分頃に駆け込んで、展示終了時刻の18時30分までに駆け足で見たので、あまり深くは見ることはできず、ワークショップにも参加する時間もなかったので、それほどがっかりはしなかったのです。駆け足で1時間強でほぼ全ての展示をざっと見て、必要と思ったものを買うことができました。
でも、実際に行ってみると、世界最大というほど大きくなく、ワークショップなど参加しなければ、まあ、2時間程度あれば十分見ることができる規模。もし、日本からわざわざやってきて参加したらちょっと寂しい気持ちになるような気がしました。
とはいえ、展示されていた作品の中には面白いものも多かったです。まとめてご紹介。
フランス独自の手芸、洋裁技術は立派
ファッション(オートクチュール関連)や手芸の専門学校や団体の展示の中には見事なものがありました。やっぱりセンスと伝統を感じました。
特に興味をもったのが、オートクチュール刺繍(リュネビル刺繍)と呼ばれるもので、専門学校の生徒が巨大な枠で立派な作品を作っていました。この刺繍については、日本の刺繍枠メーカーのApollonさんが、リュネビル刺繍を家庭でできるようにした立派な枠セットを売っていました(350ユーロと価格はかなり高めでしたが)。フランス独自の手芸とのことで、興味がわきました。
ほかにフランス独自といえば、ブティの展示も、3企業・団体ほどあり、いずれも素敵な作品やキットを売っていました。かつて、パリ中を探し回ったけど、見つけることができなかった芯に使う毛糸や長い専用針を販売している業者を見つけて購入しました。オンラインで注文もできるそうです。今後の調達の道が開けてよかったです。
https://www.boutis-provence.com/fr/
ゴールドワーク(金糸手芸)の専門店もありました。ロッシュフォールの企業のようです。ゴールドワークは王室と密接に関連しており、英国もかなり進んでいるようで、確かハンプトンコート宮殿の中に教室があったように思います。本も出ていて、帰国までに技法など見てみたいと思っていたのですが、フランスのも素敵でした。写真を撮ろうとしたら断られてしまったのでウェブサイトをご紹介。
http://www.broderieor.com/1-kits-de-broderie.html
パッチワーク用布地やクロスステッチ、毛糸の店も多くでていましたが、ブースの面積が限られていることもあって、こちらはあまり変わり映えしない印象でした。短時間にみたせいもありますが・・
手芸の新しい道具・技術などは時間が足りず
ジャノメミシンさんとか大きなブースを出されていたのですが、こちらも時間がなくて通り過ぎてしまいました。拡大鏡やライトの店があり、もう少し時間があれば、じっくり見たのに‥という感じです。
日本の手芸が人気
日本からの出展された展示や、欧州やフランスに拠点を構えている日本人あるいはフランス人によって日本の文化を紹介している展示が多くみられました。例えば下の刺し子のお店は大人気。ここ以外にも刺し子キットを置いている店がいくつかありました。
このほかフランス人の方が、日本刺しゅうをされていたのを見ました。かなり伝統的な古典柄です。フランス人の感性でデザインされたものが出てきたら、もっと素敵なのに、と思いました。
日本からだと思いますが、組みひもや帯の展示もありました。とても素敵でした。
それと、Felissimoというブースをみつけて、「このFelissimoは、あのFelissimoですか?」と思わず聞いたところ、日本の手芸用品の通販で有名なフェリッシモさんでした。日本を出て以来、カタログを見る機会がなくって、すっかり懐かしくなり、担当の方に話しかけたところ、最新の手芸品のカタログをくださったのです。持ち帰って眺めているのですが、これが楽しい。
驚いたことに、このカタログの中に「レギュイユ・オン・フェット(l’Aiguille en Fete)」に出展されている殆どの手芸技術が紹介されているのです。オートクチュール刺繍、日本刺繍、ブティ(トラプント)、クロスステッチ、フランス刺繍・・こんなすごい手芸カタログ、世界の他の国にはないです。改めて見直しました。