英国の庭から~海外生活ブログです

オランダで還暦を迎えた駐妻。英国での5年弱、2度目の駐在生活を終え、オランダ生活も3年を過ぎてしまいました。けたところでロックダウン入り。できる範囲で何をしようかと模索中。

ユーロスターは当面、使いものにならない(ブレグジット その19)

週末に同僚と二人で1泊2日のパリ旅行をしたのですが、いよいよブレグジットのマイナスの影響が我が身に及んだので、ご紹介します。(本稿、最初に北駅で並んでいる際、書いたのですが、北駅の通関を通過した時点で、今回の遅延の理由が大体わかったので、少し書き直しました。最初にお読みいただいた方、不正確な情報があった点、ご容赦ください)

 

今回のパリ来訪は、パリで年1回(今年は3月7日~10日の4日間)開催されている国際手芸見本市「レギュイユ・オン・フェット(l’Aiguille en Fete)」を見るのが目的でした。チケットが1日しか有効でないので、日曜日にパリでは商店が閉まってしまうことから、土曜日の午後はパリ市内の観光にあて、日曜日に見本市を見ようと計画を立て、パリ北駅16時37分発を数か月前に予約し、パリを訪れました。

 

先々週、日曜日の午後発で予約したはずのユーロスターが前日にいきなりキャンセルになり、朝10時台発に振り替えられたとお伝えしましたが、今回も16時過ぎになって翌日の列車がキャンセルとなったため振り替える、振り替える場合は朝9時3分発しかないとの連絡が来ました。

 

展示会には日曜日に行くつもりだったのですが、慌ててパリ観光を諦め、展示会場に向かい閉館間際の1時間で駆け足で見て回る羽目に。翌朝は7時過ぎにホテルを出ました。

 

ユーロスターから、この日曜日、「フランス税関職員のストライキのため」と説明が来たのですが、実は木曜日にパリに出張していた夫もロンドンに戻る際、同様の説明があって2時間北駅で待たされた(立った状態で)とぼやいていました。その時は、ブレグジットに備えた税関職員の予行演習と説明されたそうで、出口で必要もないのに「税関申告品はあるか?」と聞かれたそうです。

 

さてさて、朝食も満足に食べられないまま、7時20分にホテルを出て北駅に向かいました。北駅に向かうだけでも大変です。なんと、北駅に乗り入れる地下鉄4号線が運航中止で、乗換駅(Strasbourg St.Denis)の4番線のホームが閉鎖されているではないですか!バスに乗り換えようと地上に出たものの、見つからず、東駅(Gare d'Est)まで歩いていき、そこから地下鉄5号線に乗り換えて何とか北駅に到着。(パリ在住の方には、この苦労がお分かりいただけるかもしれません)

 

なんとか、北駅に到着し、ユーロスターのロンドンに向かう列に割り込んだのですが、待てど暮らせど、出発時刻が来ても、出国審査の列が動きません。皆、立ったまま待たされているだけ。そもそも離脱もしていないのにフランス出国に何の税関手続きが必要なわけ?

 

↓並んで何時間も待つ人々

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ちなみに、フランス24のニュースでは、税関職員の待遇改善ストライキにより、港湾、空港など各地で遅延が相次いでいるとの情報がありました。ノー・ディールにより税関職員の負担が増えることを理由としての改善要求だとしています。 

 

さて、その後、じりじりしながら待っていたら、ようやく通関チェックが始まりました。まず、フランス側の出国審査・・こちらは通常通りの人数が張り付いており、いつもと同じくらいの所要時間です。次に英国側。こちらは、もしかしたらいつもより1人か2人か少なく、英国側を通過したのは、出発時刻の9時3分からだいぶ遅れた10時30分近く。しかも、これで終わりじゃありません。

 

この後、携行荷物とボディチェックが待っています。さらに20分以上待ったところで、携行荷物のチェックが始まりました。ここで遅延の理由がわかりました。荷物チェックのレーンが通常4つぐらいあるところ、1つしか稼働していないのです。だから延々と待つわけ。この担当が税関職員のようです。税関職員のストというのもあながち嘘ではないのかもしれません。

 

そして、荷物、身体チェックを終えてロビーに行こうとしたところ、3人の屈強そうな係官に呼び止められて「申告品はあるか?」と聞かれました。(木曜日に夫がやられたのと同じです)「ない」と答えると、「本当か?1,000ユーロ以上のものを所持していると不法だぞ!」と英語で言うのです。まだ、ブレグジット前ですから、持っていても不法ではありません。「おいおい、そういうウソはいけないよ‥」と言いたいところだったのですが、早く行かないと乗り遅れるリスクもあるので、ひたすら「ノー、ノー」と言って解放してもらいました。

 

かくして、9時3分発のチケットを買った乗客全てが乗車を終了し、出発したのは11時15分頃でした。

 

今週、フランス税関職員が何をしようとしていたのか、正確な説明はなかったのですが、おそらく、ノー・ディールになった際を想定して、どれくらいの人員が必要かとか、待遇改善が必要かとかテストしていたのかもしれません。しかし、実に迷惑。ホテルを出てから乗車するまで4時間近く立ちっぱなしで、本当に疲れました。

 

また、私が2回連続でキャンセルされてしまったことについても調べてみました。その結果、こちらについては、本当に不運だったようです。丹念にキャンセル情報をさかのぼって調べて、初めて知ったのですが、そもそも、ユーロスターって毎日のように1日平均3本くらい「オペレーション上の理由で」運航をキャンセルしているのです。とんでもない鉄道です。そして、通常は1時間に1本運行ですが、乗客が多く、1時間に2本ある時間帯(大体30分前後にある)を優先的に運休しているようにみえます。また、やたらと運休されている出発時刻があったので、グラフ化してみました。もし、近々、ユーロスターを利用されるご予定があれば、この時刻の便の予約は避ける方が無難です。

 

ロンドン発パリ行便で2月12日から3月27日までにャンセルされた、あるいは予定の便

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パリ発ロンドン行きの便で同期間にキャンセルされた、あるいは予定の便

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(出所:ユーロスターウェブサイトよりゐ作成)

 

というわけで結論:

1. ブレグジットが落ち着くまでは、英国ーフランス間の移動は極力控える。

2. ユーロスターの予約はあてにならない。2月以降、1日平均2~3本が前日、または数日前にキャンセルされている。

3.キャンセルされやすい便の予約を避ける。

 

こんなに信頼性の低い交通機関は使えません。週末の便、あるいは平日の朝、ロンドン発パリ行きの便、夕方、パリ発ロンドン行きの便はキャンセルや遅延だらけです。ニュースにすらなっていません。これでは、ビジネスや観光は麻痺してしまいますね。

 

そもそも、今回の混乱は「ノー・ディールをしない」と言う確約がないことが原因。いまいましいですが、3月13日に議会が拘束力にある投票を行うはずですので、それに期待したいです。

 

前回もそうでしたが、帰宅した2日後ぐらいにユーロスターから「今回のご利用の満足度を教えてください」と、とぼけたメールが届きます。なんて書いてやろうかな?