英国のEU離脱(ブレグジット)問題は前回、ご報告してから2週間、その間全く進展しなかった模様です。
もしかしたら、何か水面下で画期的な取引をしているのかもしれませんが、表面上、EUとの交渉はまったく進展していません。新聞を見ても、意味のある記事はありません。漫画をみるのがわかりやすいです。
もともと英国の要求にこたえる気がなかったEU側からは、トゥスク大統領から2月6日に「ブレグジットをどのように安全に進めるか、実施方法を何も計画をせずに推進した人たち」には「地獄に特等席が用意されている」というツィートが出たり、その他の閣僚からも英国の離脱強硬派に対するきついツィートが相次いで出ています。
それに怒った離脱派議員が「ほら見ろ。EUというのは、こんなに嫌な奴らなんだ」と反撃するのですが、見事な返り討ちにあって、無知・無教養をさらす結果となっています。まあ、でも英国議員の無教養ぶりを笑える日本国民ではありません。五輪担当相の問題発言が報じられるたびに恥じ入る私達。世界はどこもこんなものかもしれません。
今日(2月14日)は、バレンタインデーでしたが、議会(下院)はメイ首相に厳しく、「メイ首相が進めるEU離脱交渉方法を支持するかどうか」というメイ首相が提出した動議は賛成258票対反対308票で否決されてしまいました。ジェイコブ・リース・モグ議員をリーダーとする党内の離脱派タカ派議員の勉強会ERG(European Research Group)をがメイ首相を支持することを拒んだからです。
その結果、メイ首相はこんな具合に。
今日は他にも、コービン労働党首が提出した 2月27日までにメイ首相にEU離脱に関する合意案あるいは何らかの代替案を提出させるという動議が賛成306、反対322で否決されています。
従って、メイ首相には、もう少しEUとの交渉余地ができたわけですが、2年半の交渉期間を全く有効に使えず、さらに延長を求める姿勢に、その能力を見限る意見も多々出ています。しかも、いまだに「ノー・ディールをしない」と確約しない首相の交渉方針に各界、特に産業界から批判が殺到しています。
今日付けのガーディアン紙は、「歴史はメイ首相の向こう見ずなノー・ディール瀬戸際策を許さないだろう」との見出しの意見記事を掲載しています。
小企業連盟は2月12日、「小企業は3月29日にノー・ディールされたら対策が間に合わない」との声明を発表していますし、政府が連日のように配信してくるノー・ディール対策ガイドに出ている「いざというときのために在庫の積み増しをしろ」、「倉庫を借りろ」、「問題点を洗い出せ」、「専門家に相談しろ」といった一連の対策(いかにも委託を受けたコンサルが書きそうな上っ面のアドバイスですね)を行う資金がそもそも足りないと訴えています。
これは英国企業だけでなく、日系企業にも大きな問題です。特に、中小・中堅企業は悲惨。多くは、ノー・ディールが決定しなければ、その対策に使う費用の捻出さえ、本社に認めさせることができません。顧客にやいやいせっつかれて2カ月分の在庫積み増しを図ったけれど、積み増し分の代金、倉庫代やその保険料、そういった資金の手当てに困っているといった話もちらほらきかれます。それ以外にも英国で取得した認証がノー・ディール後はEU向けの輸出に使えなくなるので、とりなおすべきだろうか?それにはまた多額に費用がかかってしまうと深刻。
メイ首相のろくでもないディールに賛同した安倍首相には本当に呆れて物も言えません。しかし、どの国をみても政治家なんてこの程度のもの。賢い国民は政治家をコントロールする方法を模索しなくてはいけない時代だと思います。
(こういうときにコントロールは使うべきなのよ。家族をコントロールしてはいけません。ぶはっ)