英国人はルール作りに長けた民族です。様々なルールを編み出し、法律やゲーム、ファッションなど様々な形で世界中に広めてきたことには敬意さえ感じます。
ルールの最上段にあるのが法律です。早いものでは13世紀に定められ、今も効力のある法律として残っています。
現代には全く即していない法律(dead law)を廃止しようとして2012年4月にチェックしたところ800もあったそうです。
それらの中で、日本人の生活に影響しそうなおかしな法律をご紹介しましょう。英国メディアでも取り上げられていますから、近々、改正されるかもしれません。(逆に英国人が気が付いていない、妙な法律もあるかも)
1.パブ、公道、公共の場所で酔ってはいけない
1872年に制定されたLicencing Act 12条に定められています。酔った状態で見つかると罰金刑らしいです。日本人はアルコールに弱いですから、要注意です。最高200ポンドの罰金刑らしいです。
2.ロンドン市内では板、ハシゴなどを公道上で持ち運ぶのは違法
1839年に制定されたMetropolitan Police Act 54条によりますと、ロンドン市内の公道で材木やハシゴなどを持ち運ぶことは禁止されています。IKEAの組み立て前の家具なども対象らしく、配達サービスを利用するか、敷地内に自家用車で運び込むのが無難ですね。最高500ポンドの罰金刑の模様。
3.ロンドン市内では走行中のタクシーを呼び止めてはいけない
1843年に制定されたLondon Hackney Carriages Act 13条によりますと、街中を流しているタクシーを呼び止めるのは、それが「空車“for hire”」のサインを出していても違法です。馬車の時代、馬は急に止まることができなかったので、こういう法律ができたのでしょう。タクシーは停車している状態でないとつかまえられません。最高200ポンドの罰金刑。
4. ロンドン市内で、朝8時以降、ドアマットを戸外に向けてふるってはいけない
上述のMetropolitan Police Act 60条の決まりです。また、ドアマットは午前8時前ならふるってもかまいませんが、ベランダなどでマットやシーツをふるうのは終日、違法です。500ポンドの罰金刑。
5. ロンドン市内で、ドアをノック、あるいはドアベルをならし、歩み去るのは違法
これもやはりMetropolitan Police Act 54 条の決まりで、そのまま逃げ去ったら違法。お子さんなどがこの遊びをしないように気を付けましょう。500ポンドの罰金です。
日本人に直接影響があるのは、これぐらいかな?と思います。
でも、他にも、王室関連の法律で時代錯誤のものは数えきれないほどあります。「英国の浜辺で見つかるクジラは頭は国王に、しっぽは女王に帰属する」(14世紀のエドワード二世の時代の法律で、しっぽとそれに付属する骨がコルセットに使われた模様)、「英国に飛来する白鳥は王(女王)に帰属する」「王室が買っているペットと自分のペットを交雑させると違法」などなど。
英国の法律は慣習法で、数も多く、それが法曹サービス業界に仕事を与え、英語圏ということもあって世界中に法曹サービスを提供し、一大産業となっています。
今回のブレグジットの騒ぎでも、法曹サービス業界は「お困りでしょう」「お助けしましょう」と言葉巧みにすり寄り、「ノーディール」の危機を煽りながら「焼け太り」しているのが現状。
こんなにバカげた法律が多々残っているのも、法律を複雑化させて、法曹産業を下支えしているのかも、とうがった見方をしてしまいますね。