EUとの離脱合意案の承認を問う下院での「意義のある投票(the meaningful vote)」は432対202という大差で否決されました。今日の新聞各紙は、全紙否決の予想で一致していましたが、230票差という与党の敗北は英国議会史上最大の負けっぷりということです。与党保守党議員のうち118人が反対票を投じたようです。
こちら開票のシーンです。例によってバーコー下院議長のうれしそうなこと。ところで、前回、この方を保守党議員と書きましたが、議長になったときに無所属になったそうです。
保守党からの受けが悪く、議会でイジメにあっているのを理由に辞任の意向を昨年秋に明らかにしているそうです。今回の無茶苦茶ぶりはそういった背景があるのかもしれません。
ちなみに、上院では昨日14日、「政府のEU離脱合意案に反対し、ノーディールでの離脱にも反対する」という動議が労働党のアンジェラ・スミス バジルドン女男爵上院議員から提出され、賛成320票、反対151票で可決されており、これも政府が敗北したということになっています。
労働党のコービン党首が明日、メイ首相の不信任案を出すらしいのですが、これは否決される可能性が高いです。
今後、ありそうな選択肢として挙げられているのは以下のようなもの。
1. メイ首相がEUと再交渉して追加譲歩を引き出す(今回の反対票を覆すほどの譲歩を得るのは難しいはず)
2.議会に再投票を申し入れる(今回と同じ結果になるはず)
3.ノーディール(国民も産業界も世界も許さないが、強硬離脱派は満足)
4.離脱日を延期させる(これは可能性が高いが、延期できても欧州議会選挙がある5月下旬まで)
5.総選挙
6.第2国民投票
7.リスボン協定50条に基づく離脱申し入れの撤回
メディアの論調をみていると、
6. 第2国民投票を行うことを勧める意見と、意外に7.離脱申し入れの撤回を勧める意見が多いですね。
7.になった場合、離脱派は激怒するでしょう。残留派と産業界は喜ぶはずです。メイ首相はこれを選択したら、何らかの形で国民に信を問わねばならなくなるはずです。しかも、この2年半、無駄に財政支出しただけで、欧州医薬品庁をはじめとする重要なEU機関を失っただけということになりますね。まあ、コンサルタント関係のビジネスで大儲けした人も結構いたし、ブレグジットを口実に不要部門を閉鎖してスリム化できた企業も多いと思いますから、マイナスもあればプラスもあったということで・・・
3日以内に政府からPlanBと呼ばれる代替案が出てくるはずですので、それを待つということにしましょう。