英国の庭から

欧州調査歴25年のリサーチャー兼駐在員妻です。英国在住歴は通算10年。庭仕事のかたわら、言いたい放題つぶやきます。

住まねば都?英国に対する感じ方の違い

秋口にブログを始めてしまったもので、「英国の庭から」と言いつつ、あまり庭の話題にならず恐縮です。しかも、読み返してみると、英国の悪口ばかり書いていますねぇ。英国ファンの皆様、すみません。

 

英国に対する感じ方というのは、ロンドンに通勤するかどうか、英国人とビジネスで付き合うかどうか、で大きく違うような気がします。前回、英国に住んでいた頃は、子育て中の主婦で、在宅の仕事をたまに請け負うぐらいでしたから、ロンドン中心部に電車通勤するとか、英国企業や官庁と接触するとかは全くなかったので、ストレスが少なかったんですね。

 

さらに90年代の英国(というか、EU全体)は、今のように緊縮財政ではなかったし、地方財政も、今と違って自治体ごとの支出権限が広かったのです。比較的収入が豊かだったロンドン周辺の自治体では、成人教育などの行政サービスが提供されて、その内容が良くて、私達駐在員の奥さんたちもそれを利用できたのです。自治体が提供する託児所付きのカルチャースクールは受講料が1カ月1万円弱程度(託児所の費用は別)でした。だから、私も英会話、手芸、カリグラフィー、ガーデニング、アンティーク講座など色々なクラスに通いました。単発でビーズのアクセサリーを作る講座とか、植木鉢を自分で焼いて作る講座などもあり、実に楽しかったです。

 

残念ながら、地方財政制度の見直し、緊縮財政、移民の増加などにより今、そういった公的なスクールが提供するのは、会計や労務に関する講座、移民用の語学講座など、就業に直結した講座だけに絞られてしまい、それも年々先細りと聞きます。

 

そういうわけで、英国の良いところだけを見て過ごせた私は、帰国する時はとても残念に思ったし、未練たっぷりでした。一方、トラブルだらけの電車で毎日通勤し、ビジネスの世界でストレスにさらされていた夫は対照的にせいせいした様子で帰国しました。

 

あれから、20年近くが経ち、公的なカルチャースクールなどの恩恵はなくなりましたが、住宅は広いし、街並みはきれいだし、他のヨーロッパ諸国に旅がしやすいし、通勤しないで済む、駐在員の奥様達は相変わらず「もっといたかった」と未練たっぷりに日本に帰って行きます。

 

その一方、職場の同僚も含め、仕事で付き合いのあるロンドン在住の男性駐在員の多くは「全く未練はありません」「せいせいしました」「物価も高いし」「空気も悪いし」「住まねば都ですな。ハハハ」と言って帰国します。

 

ところが先日、ロンドンから1時間強の中核都市近郊にお住まいで、そこから10分程のオフィスに自動車通勤している男性駐在員の方と会ったところ、「帰りたくない英国生活は楽しい食べ物はあんまり美味しくないけど(ここだけは立場が変わっても共通(-.-))、普段は嫁さんがお弁当作ってくれるから」とおっしゃるではありませんか。

 

「英国人と仕事して大変じゃないですか?」

「いや、こんなものでしょう」

「でも、この人たち、あんまり働かないし」

「それはそうだけど、日本人が働きすぎなんですよ」

「でも、英国人ってビジネスのアポイント、しょっちゅうドタキャンしません?」

「それはしますね、でも、約束の時間には比較的正確な方ですよ、以前にヨーロッパの他の国にいたんですけどね・・その時の面倒臭さに比べれば英語で仕事ができるし、合理的だし、ずっと楽ですよ。職住接近で、きれいな住宅環境。ここはいい国ですよ」

 

その方のオフィスは日本人駐在員も数名で、業務のスタイルも英国に合わせているそうで、ぎすぎすしていないのだそうです。ロンドン中心部で日本人駐在員が何十人といて、丸の内がそのままロンドンにうつってきたような企業の人は、「東京の方がずっと良い」と帰って行かれますが、地方でゆったり生活できると英国への感じ方がやっぱり全然違うのだなぁ‥と改めて思いました。

 

かくいう私は、ロンドン中心部ではなく、通勤に1時間位かかる郊外に住んでいます。確かに住宅地はきれいで、休みの日は「やっぱり良いところだなぁ」としみじみ思います。庭もきれいだし、真夏日がほとんどないし・・

 

そして、平日は電車が「スタッフ不足」「信号故障」でキャンセルされるたびに「東京の通勤の方が楽だなぁ‥」と思うし、仕事をするなら「日本人相手の方が安心だし、楽だなぁ」と毎日思います。

 

ともあれ、我が家の英国滞在ビザは2020年3月までなので、あと1年強しかありません。その間、英国についてもっとしっかり見ておこうと思います。あまり時間がありませんねぇ・・ 

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ロンドンブリッジからみたテムズ川。タワーブリッジとその左手にはロンドン塔がみえます。