毎日料理をする主婦からみると、英国で一般に売られている肉は、日本に比べて値段は安めですが、使いにくいです。薄切り肉が売っていないのは、以前に書きましたけど、刻むのが面倒くさいだけじゃないんです。
流通に問題があるのか、買う店の管理が悪いのか、肉そのものが臭いことが多くて・・さらに日本人が多く食べる鶏モモ肉が使いにくい。英国の白人保守層は脂身が多い鶏モモ肉は食べたがりません。だから、移民層が少ない地域の店舗だと鶏モモ肉は回転が悪いみたいで、さらにいけません。
鶏モモ肉には皮付きと皮も骨も外したフィレの2種類があり、皮付きの方が鮮度が良いことが多いのですが、皮には羽の破片が残っているし、骨も外さないといけないので、ついおっくうになります。皮は皮でおいしいのに。
私は、平日は6時頃までオフィスにいます。帰宅して30分以内に食事にしたいので、お肉の下処理はなるべく短時間で済ませたいところ。
そこで今日の本題に入りますが、働く主婦は同様のことをされている方が多いと思いますが、肉そぼろを作って冷蔵庫に常備すると便利です。
牛肉は、すき焼き風の味付けにしておくと使いやすく、豚肉は味噌風味がおススメです。もやしと一緒にラーメンのトッピングにするとおいしい。鶏のひき肉は英国では普通には売っていないので、お肉屋さんで挽いてもらわないといけませんが、鶏モモ肉だけのひき肉なら普通に甘辛いそぼろにすると美味しいです。
こうして作ったそぼろは、そぼろ丼にする他、野菜と炒めたり、お豆腐のトッピングにしたり、野菜とくずした豆腐と炒めて肉豆腐丼にしたりと応用できます。野菜と炒めるとき、そぼろに味がついているので、野菜は塩胡椒で味付けするぐらいで十分です。にんにくペースト(粉末でもいい)を入れたり、仕上げにゴマ油少々を回し入れたり、炒りゴマを振ったり、茹でた春雨を追加するとチャプチェ風になります。
そういえば、同期の友人はいつも帰宅して短時間にできる炒めものばかり出していたところ、お子さんから「チャー(炒)さん)という名前をもらった」と言っていました。
さて、もし 鶏ムネ肉のひき肉が入手できたら、こちらはプチプチした食感があるので鶏そぼろとして煮詰めてはもったいないです。水と調味料を煮立てたところにひき肉をほぐし入れると鶏そぼろだし汁となります。これをごはんにかけていただくと美味です。
こんなわけで、だいたい何かのひき肉から作ったそぼろを冷蔵庫におくようにしていますが、ひき肉は傷みやすいので、買ったら即、料理することが重要です。
それともう一つ、良心的かつ信頼できる店で買う必要があります。
90年代後半から2000年をピークに、英国ではクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の患者が大量に発生したことがありました。政府は因果関係を認めませんでしたが、英国のCJDは狂牛病（BSE)に感染した牛の肉を食べたのが理由と一般には言われています。
BSEの原因となる異常プリオンは蓄積されやすい部位（脳、脊髄、脊柱、回腸遠位部、眼球、扁桃）があり、この部分を完全に除去しなくてはいけないとされています。CJDは非常に稀な病気にもかかわらず、なぜかイングランド北部地域で集中して発生し同じ村の近い通りで何人も発症したこともありました。
当時のBBCの番組だったと思いますが、北イングランドに貧困層が多く、バーガーなどひき肉料理を多く食べていたこと、地元の肉屋さんが適切に危険部位を除去せず、ひき肉に混ぜてしまっていたからではないかと分析していました。これが事実かどうかはわわかりません。調べたところ、国の機関が毎年CJDに関する調査報告を発表していることがわかりました。肉を食べて発症するタイプのCJDはVariant CJDと呼ばれ、スコットランド、北イングランドに発症が多かったようですが、2016年を最後に発症報告はないそうです。
http://www.cjd.ed.ac.uk/sites/default/files/report26.pdf
ともあれ、ひき肉は適当なくず肉をまぜてわからなくしてしまうことができますので、怪しげな店では買わない方が良いと思います。
というわけで、次の写真はNHK今日の料理で栗原はるみさんが米国在住の方に向けて教えたレシピのページからいただきました。先にひき肉を炒めず煮たてた煮汁に肉を入れる方法です。これだと大きな塊のまま固まってしまわないので簡単です。若干甘めだと思いましたが、娘は大喜びでした。
https://www.kyounoryouri.jp/recipe/19472_鶏そぼろ.html
