英国の庭から

欧州調査歴25年のリサーチャー兼駐在員妻です。英国在住歴は通算10年。庭仕事のかたわら、言いたい放題つぶやきます。

3月29日には離脱できないかも...(ブレグジット その6)

しばらく、ブレグジットの話題から遠ざかっていましたが、来週、最大の山場を迎えます。既に多くの日本の新聞でも報道されていますが、先月EU側と合意し、今週の月曜日から英国議会で審議中のEU離脱法案が、12月11日(火)に採決に付される予定です。夜7時から始まり、その日の夜10時過ぎぐらいに結果が分かる見通しです。

 

"Meaningful vote(意義深き投票)”と名付けられているこの重要採決ですが、 英国各紙の予想を見ても可決されるとは考えにくいです。与党内に強硬な反対派がいるし、野党から多数の賛成者が出るような合意案でもないし。

 

そこで報道では、議会で否決されたらどうなるか‥ということに焦点が集まっています。一昨日、下院から届いたメルマガをみますと否決されたらどうなるかが詳細に出ていました。

↓ご関心のある方はこのページです。(下の方のBrexit Roadmapをご覧ください)

https://commonslibrary.parliament.uk/parliament-and-elections/parliament/brexit-and-the-meaningful-vote-the-final-countdown/

 

これをみますと、否決されると、政府は21日以内に今後の方針について声明を出さなければいけないということになっています。議会は政府の方針が出たら7日以内にそれを承認するかどうかの投票を行います。その投票が可決されれば、政府は再交渉を行うなり、2度目の国民投票を行うなりしなくてはいけませんが、議会は12月21日~1月6日は休会です。さらに1月26日までに何らかの政治合意に達しない場合、政府はノーディールの声明を出さなければいけないと書いてあります。

 

こういう背景から、メイ首相は「この法案を承認するか、ノーディールか」という究極の二者択一を議員に迫っているところです。おそらく否決されたら、今度はEUに「再交渉か、ノーディールか」と迫るのでしょう。「英国発欧州経済危機が起こると困るでしょ?」と匂わせながら。しかし、この手法は、核兵器を振りかざした某国の迷惑外交とあまり変わらないですねぇ。

 

この1カ月の新聞をみると、離脱派の中にも「こんな離脱なら残留のがマシ」と考えいる人が増えているようです。離脱派が最も心惹かれた文句が「主権を取り返せ」だったのですが、「主権を取り返す」どころか、北アイルランドの領有権さえ危うくなるような協定案です。

 

労働党などから2回目の「国民投票」を求める声も高まっているのですが、どうも今から準備しても3月29日という離脱予定日前に実施するには時間不足のようです。

 

いったん議会で否決されたら、EUに再交渉してもらって協定文を微修正し、再度議会にかけて可決、3月29日には離脱できると呑気なことを言う人もいます。しかし、議員の多くが一番問題視している北アイルランドの扱い「バックストップ案」についてEU側が再交渉に応じるのか、はなはだ疑問です。

 

ノーディールの可能性が高まるにつれ、EU側でも協定の内容見直しではないですが、EU司法裁判所から非公式ながら、「離脱通告は撤回できるよ」という見解が出たり、「3月29日の離脱日を無理に守らなくてもいいんじゃない?」といった発言が出始めています。問題の先送りではありますが、これが一番簡単なノーディール回避策かもしれません。

 

というわけで、来週11日に議会で否決されたら、もしかしたら、3月29日の離脱を延期する方向に動くのでは・・?と、ひそかに考えております。

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英国議会 下院ウェブサイトより