英国の庭から~海外生活ブログです

欧州調査歴25年以上のリサーチャー兼駐在員妻です。英国在住歴は通算10年。庭仕事のかたわら、言いたい放題つぶやきます。

外国人労働者の受け入れで考えたこと

日本で連日報道されていた外国人労働者の受け入れ問題、ニュースを聞いていてあれこれ考えてしまいました。本稿、最初にUPしたものから大分書き換えてしまいました。書いて読み直してみると、その都度、どこか違うと感じる難しい問題だと思います。

 

今回、改正されるのは入国管理法で、よく移民法と呼ばれるものです。だから「移民労働者」という言葉が使われてもいいはずなのに「外国人労働者」という言葉にこだわっているあたりに違和感を感じました。よく聞いてみると、受け入れ拡大対象は外国から来る単身労働者で、配偶者を連れてきてはいけないのですね。「単身なら定住しないで自国に帰っていくさ・・だから移民じゃない」ということなのでしょう。

 

でも、本当にそう都合よく必要な期間だけ働きに来て、不要になったら帰ってもらえるものでしょうか?日本に都合のよい制度ですが、非人道的で世界中から批判されそうな気がします。あるいは、結婚前の若い人だけを想定しているのかもしれませんが。

 

政府が受け入れを単身者に限定するのは定住による長期的混乱を恐れてのことなのでしょう。欧州の移民問題の現状をみると、それは一理あると思います。

 

でも、それなら高度な人材は配偶者を連れてきても良くて、希望すれば短期間で永住を認めるという方針にはもっと大きなリスクがあるのではないでしょうか?

 

英国のEU離脱のきっかけとなったのは、2004年の中・東欧諸国のEU加盟でポーランドやルーマニアなどからの移民が激増したせいと言われていますが、同時にもっと古くからの大英帝国の植民地からの移民の三世、四世がアングロサクソン系の苦手な理数系科目で圧倒的な優位に立ち、一部の職種(金融とか医薬品とか)で彼らの雇用を奪ったり、ロンドン近郊の高級住宅街を買い占めたり、ロンドン市長を輩出していたりと、そのプレゼンス拡大に恐れを抱いているというのもあるように思います。

 

これは優秀なインド系が丸の内のサラリーマンの2ー3割を占めるようになり、成城あたりの住宅街の10軒に7軒がインド人家庭になるようなものです。都心の物件は、投機目的の欧米、中東、中国の富豪が買い占めて価格をつり上げてしまい、日本人は関東近県に住んで毎日片道90分以上の遠距離通勤するようになる。現実に英国ではこういう状況になっています。

 

もう一つ、急速な新しい移民の増大は、社会不安や治安の悪化を招くだけでなく、この層は総じて低所得なので低価格、低品質の品を大量に買います。その消費量は大きく経済にプラスかもしれません。でも、低品質の製品で満足する消費者層の存在が英国企業の競争力を引き下げているようにも思うのです。例えば、日本製品を見ると、定番製品であっても容器とか包装、味や成分など帰国するたびに改善されていて驚いてしまいます。ここ10年ほどの英国製品にはそういう改善はなく、値上げがなければ幸いという感じ。容器の蓋はいつまでたってもペンチを使わなければ開けることもままならないし。

 

そう考えると、単純労働者だろうが高度技能労働者だろうが、外国人の受け入れというのは、大きなリスクをはらんだものだと思います。中途半端に受け入れを拡大するのではなく、ギリギリまで、国内労働力の活用とか、ロボットやAIの活用とかの努力を怠るべきではないと思います。その具体的方法については、またの機会に。

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